斉藤惇夫著「冒険者たち ガンバと15ひきの仲間」


ガンバ♪ ガンバ♪ ガンガンガンバ♪

「ガンバの冒険」といえば、幼少時代の僕に熱き血潮と若干のトラウマを植えつけてくれた、知る人ぞ知る名作冒険アニメ。何か思いがけない壁にぶち当たったとき、がけっぷちぎりぎりを渡るような事態にでくわしたとき、僕は心の中で、ガンバのように「しっぽを立てろ!」と鼓舞します。たくさんの勇気をくれた素晴らしいアニメでした。

その「ガンバの冒険」の原作となっているのが「冒険者たち ガンバと15ひきの仲間」。アニメが7匹程度の仲間達だったのに対し、原作は15匹であったことにまず驚かされます。さらに「しっぽを立てろ」という名ゼリフは、原作中に一度もなかったと記憶します。

アニメの印象が強烈なせいか、読んでいるとどうしても、頭の中ではアニメのキャラクターが動いたりしゃべったりしていて、ガンバの声は野沢さんの声で脳内再生される始末。これがいいのか悪いのかわかりませんが、すんなりと世界へ入りこめたのは良いことでした。ただ原作のガンバはアニメほど勇敢ではなく、事なかれ主義というか、その場の勢い任せに行動していて、周囲に飲まれて担ぎ上げられているようでした。それがガンバの内面で葛藤として、さりげなく描かれている点にも注目です。

圧倒的な強さを誇る、ノロイ率いるイタチ集団に対して、個々の得意技を駆使して、知恵を出しあい力をわけあい、小さいながらも奮闘するガンバらネズミたち。どうしようもない絶望的な状態を、各々の一つだけでは成立しない能力を掛け合わせて、勇気をふりしぼって克服していくという構図は、以降の様々な作品にも大きく影響していると感じます。マンガ「ワンピース」なんかはまさにそれで、原作者がこの本を読まれているかどうかは知りませんが、通ずるものがありますね。読んでいる人たちに勇気を与えます。

近頃はあまり「これはっ!」と思える本がなく、私生活共々沈みがちな日々だったのですが、久々に夢中になって読むことのできる本に出会うことができました。アニメを知っている方はぜひぜひ、原作のほうも手にとってみるとよろしいかとお勧めします。原作を既読の方は、アニメをどう感じるか、機会あれば観てほしいです。

子供向け、と銘打ってありますが、大人が読んでも十分歯ごたえのある作品、むしろ大人こそが読むべきものと実感しています。子供のころ読んでたら、それこそ大きなトラウマを生んでいたかも・・・です。それくらいノロイたちが恐ろしいんだよね。

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