小野田 寛郎著「たった一人の30年戦争」

30年間、戦争が終わったことを信じず、派遣先フィリピンルバング島で戦い続けた一人の軍人。小野田寛郎。

商社マンとして働き、召集を受け、ジャングルの密林の中でサバイバルを成し遂げるまでと、日本へ帰還してからのその後。小野田さんの胸の内を裏表なくさらしているのが、本書になります。

たった一人の30年戦争

小野田少尉が戦場から帰還したのは、私が生まれる10年ほど前。そのときすでに小野田さんは50歳を過ぎておいででした。日本へ戻った小野田さんはまさに「浦島太郎状態」だったことでしょう。国のためという考え方から、お金のため、にシフトしている社会に溶け込むことは、極めて困難だったと本書で語られています。

前回の読書感想でも「表紙詐欺だ!」なんてぬかしましたが、今回も言います。本書はタイトル詐欺です。

私も本書で初めて知ったのですが、終戦後もなお島に潜伏したのは、当初、小野田さん含め4人だったそうです。そこから1人が降伏し、1人が戦死し……戦友小塚一等兵と2人で、27年間戦い続けたそうです。そのかけがえのない戦友も最後は銃の餌食となってしまいます。

ですから小野田少尉が本当の意味で「一人戦争」したのは、3年弱だといえます。

ややタイトルをデフォルメしすぎた感がありますが、インパクトありますね。もしかしたら「30年の孤独」というのは、日本へ帰還して以降の心境をにおわせているのかもしれません。まあしかし帰還後すぐに人生の伴侶を見つけておられますし、孤独の頂に居続けられたとは思いませんが。

小野田さんにとっての終戦が、1人の戦争を知らない若者の登場によるものだとは、知る由もありませんでした。小野田さんの人生を180度変えた、運命的な出逢いとなるのですが、別れも数奇なものとなります。

また、日本に戻って数年で、小野田さんはブラジルへと渡られています。これにも驚きました。さらには「国から援助金をもらってるんじゃないか」などと、あることないこと囁かれてしまいます。英雄扱いから手のひら返したように、今度は社会の敵みたいな扱いを受けるよう操作されている節がありました。ゴシップは今も昔もかわらんですね。

なにしろ壮絶な人生。ジャングルでの30年を取り戻すかのように、その後の小野田さんは精力的です。「マジ憧れるぜ」ですね。本書に出会えてよかったと感じました。

小野田さんは御年90。野生の中で生き延びた人の生命力はとてつもないです。

たった一人の30年戦争

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