種牡馬シニスターミニスターに関する考察を2年ぶりに行います。
母父がサンデーサイレンス系で大物が出てくるのでは…。みたいな予想をこの時に書いたところ、見事に輩出されましたね。テーオーケインズ。母父はマンハッタンカフェ。
ノーザンファーム産のいないシニスターミニスター。中小牧場から名馬を多数輩出したマンハッタンカフェ。その配合で大物が誕生したというのはなんともいえない妙味を感じます。
一方、一口馬主クラブでもシニスターミニスター産駒は大活躍。ユニオンOCで募集していた2019年産3頭はすべてが勝ち上がり。ダート路線を機軸としている京都サラブレッドクラブもシニスターミニスター産駒が好成績を収めています。
中小のクラブで絶大な信頼が置けるのですよね、種牡馬シニスターミニスター。
シニスターミニスター自体はもう20歳も近い年齢ということで、種牡馬引退も近い時期なのかもしれませんが。まだまだ大物登場の予感はありますし、一口馬主クラブでもどしどし募集されています。というわけで2年ぶりのアップデートを行いましょう。
年度ごとの種付実績
それでは年度ごとの種付数と種付料の推移から見て参りましょう。
年度 | 種付数 | 種付料 |
---|---|---|
2015年 | 80頭 | 80万円 |
2016年 | 118頭 | 80万円 |
2017年 | 164頭 | 80万円 |
2018年 | 164頭 | 200万円 |
2019年 | 115頭 | 200万円 |
2020年 | 119頭 | 200万円 |
2021年 | 106頭 | 250万円 |
2022年 | ?頭 | 350万円 |
なんと安定した種付実績でしょう。
2018年に種付料を倍以上に引き上げましたがそれでも配合相手は集まり、以後も種付料アップを実施していますが100頭以上に種付けできています。2022年はさらに強気に350万円と100万円のアップを試みていますね。さすがに100頭は切るんじゃないでしょうか。種付数はまもなく公式から発表されるはず。
クラブの話で言えば、種付料が200万円となった2019年産世代から募集総額は総じて高めとなっています。しかしとはいえ金額以上の実績を出せている馬も多いので回収効果は高いといえます。
2年前「200万円は高いのでは?」みたいなこと書きましたが、全然そんなことなかった。
賞金上位100頭の母父内訳
続いてシニスターミニスター産駒の賞金上位100頭(2185万円以上)の、母父馬について頭数別に内訳を出したものがこちら。
頭数 | 母父名 |
---|---|
5頭 | ブライアンズタイム(15) |
4頭 | キングカメハメハ(20)、キンググローリアス(8)、 キングヘイロー(13)、タイキシャトル(15) |
3頭 | ダンスインザダーク(18)、フォーティナイナー(11)、 マンハッタンカフェ(28) |
2頭 | Medaglia d’Oro(4)、アグネスタキオン(16)、 アグネスデジタル(7)、サウスヴィグラス(13)、 シンボリクリスエス(16)、スペシャルウィーク(13)、 ゼンノエルシド(2)、トワイニング(7)、 バブルガムフェロー(8)、フジキセキ(24)、 マヤノトップガン(4)、ラムタラ(15)、 ワイルドラッシュ(11) |
1頭は省略。母父名カッコ内の数字は3歳以上の該当馬数の数字です。たとえば父シニスターミニスターで母父ブライアンズタイムの3歳以上の該当馬は15頭。そのうちの5頭が賞金トップ100内にいることを意味しています。
母父ブライアンズタイム優秀だなー。というのがパッと見の感想。以下、気になるところを取り上げていきます。
「キング三銃士」について
シニスターミニスターの配合相手として優秀な実績を出しているのがキングカメハメハ、キンググローリアス、キングヘイローというキングの名を冠した3頭。
ただし系統には違いあり。キングカメハメハとキンググローリアスはミスプロ系(しかもキンググローリアスはキングマンボを介していない、キングなのに)、キングヘイローはダンシングブレーヴの系譜となります。
中でもここで特記したいのがキンググローリアスですね。該当馬8頭中4頭が賞金100位以内という高水準。
ただーし。この該当馬4頭には共通点があります。全員母がライラックノカオリなんです。
ライラックノカオリにシニスターミニスターは6頭付けていて、そのうちの4頭が賞金上位。このようにシニスターミニスターはある特定の血統牝馬に対して絶大な相性を見せることがうかがえます。
めちゃくちゃ広いくくりでいえばヘイロー・ミスプロ・ロベルトってことになるんですけど。でもヘイローとはいえサンデーサイレンスを介しているタイプはさほどの成績を出せていなかったり、母父シンボリクリスエスも打率は今ひとつなんですよね。端的にはちょっとマニアックな牝馬と配合すると爆発する傾向にあります。
ノーザン社台の華やかな繁殖牝馬と付けていないからこういう傾向が出ている、ともいえますがね。
面白いですよねシニスターミニスター。
カーリアンやサドラーズウェルズといったド欧州系が○
ゼンノエルシドは該当馬2頭中2頭ともが上位。これは何を意味しているんでしょうね。
ゼンノエルシド自体は芝マイラー。父はカーリアンでさらにその父ニジンスキー。純度の高いノーザンダンサー系といった印象。直感的にはあまりシニスターミニスターと相性を感じないんですよ私は。
少し視野を広げて母父父or母父父父ニジンスキーでシニスターミニスター産駒を探してみると、母父にラムタラやフサイチコンコルドの産駒がヒットします。しかもこれらもまずまずの好成績を残しています。
4頭中2頭がトップ100であるMedaglia d’Oroもサドラーズウェルズの系譜で、こちらの方がより純ノーザンダンサー系といえるか。
悪くなさそうですね、ノーザンダンサー系の正統系譜みたいなタイプとの相性。
アメリカンワイルドな種牡馬にド欧州系な牝馬ってあまりピンと来なかったんですが、シニスターミニスターと同じエーピーインディ系でパイロがわりとノーザンダンサー系牝馬と相性いいみたいなんですよね。
これはちょっと面白いかもしれませんね。シニミニ×ノーザンダンサー系。
ヘイロー系は引き続き良さげ、ミスプロクロスも○
前述している通りヘイロー系はやっぱりいいですね。
ただしサンデーサイレンス系牝馬よりは、母父にヘイローを持つキングヘイローや、ヘイロー系の中でもタイキシャトル牝馬がいいんですよね〜。なんでじゃろね。
総じて産駒で活躍するケースって法則があって、ヘイローの血、リファールの血、ミスタープロスペクターのクロスが入っていることが走るキーなのかなと。そして先ほどの欧州な血統。
キングズガードは非常にわかりやすくて、母父キングヘイローで、母母父デインヒルで欧州系。いかにも走りそうなんですよ。ミスプロクロスでいえば稼ぎ頭筆頭のインカンテーションが5×3。テーオーケインズもミスプロのクロスが5×4と程よい塩梅で入っています。
以上のような要因を頭に入れておけば、走りそうなタイプを絞っていけそうです。
気になっているフォルテドンナの2021について
さてなぜこの時期にシニスターミニスター産駒について改めて考察してみたかというと、気になる馬がいるから。ユニオンOCで募集中の2021年産牝馬フォルテドンナの2021です。
母父はヘニーヒューズ、さかのぼればストームバードに行きつきコテコテのノーザンダンサー系。さらにミスプロのクロスも5×5ですが持っています。
成功法則から考えるといかにも良さげ。
しかも先日のセレクトツアーで生で見てみて、かな〜り惹かれちゃったんですよねえ。
十中八九出資することになるはず。順調に稽古が積まれるなら。
募集総額800万円(1口4万円)はお安いわね!豊洋牧場さん太っ腹!
当時200万円の種付料でこの募集価格。しかも2022年9月時点で450キロ台と申し分ない体重。買える要素多いな〜。
パッショーネで育成は二つ上の同牧場産キュートハイカーと同じ育成環境のはず。これもプラス材料。
しかしなんといっても配合面に惹かれます。
父シニスターミニスター×母父ヘニーヒューズは新しい配合タイプであり、おそらく現時点で日本国内で走った馬はいないはず。
2017年産にシゲルシュサの2017がいますが、デビューはできていない模様。あとは2021年産に2頭該当馬がいるだけで、その1頭が今回のフォルテドンナの2021です。
ちなみに母父ヘニーヒューズ自体は60頭ほどいて、2020年産と2021年産だけで40頭ほどを占めています。母父ヘニーヒューズの時代はまさにこれからなんよ。
シニスターミニスターの年齢も考慮すると、この配合タイプに出資できる機会ってほとんどないかも。そういった希少性もあって、出資意欲が高まってきてました。
やはり今回のデータ集計から考察しても、いい配合な気がしますな。裏付けが取れた気分。
シニスターミニスター×ヘニーヒューズの先駆けとなってくれるのか。フォルテドンナの2021、今後の活躍が楽しみであります。
まだ残口結構余っているようなので、もう少し様子見しますけどね。
本馬だけでなく、今後もノーザンダンサー系牝馬との子には注目だと思いますよ。超大物誕生もこの配合からではないでしょうか。