9月の1週目で2023年中央競馬の未勝利戦が終了しました!
我が家の2020年産の中央出資馬はユニオン所属の3頭。スピードオブライトとフェリの2頭が新馬戦を勝ってくれる幸先のいいスタート。スピードオブライトに至っては重賞で上位に入りクラシックの前哨戦まで出走することができました。残る1頭のポケッティーノは実質最後の未勝利戦といえる門別の交流戦に9月6日出走、残念ながら勝つことができませんでした。
よって3頭中2頭が勝ち上がり。ユニオンのこの世代の成績も加味するとまずまず良かったように思います。個人的には大満足。
ここからが本題。毎年恒例の一口馬主クラブ別の勝ち上がり率を集計し、さまざまな側面から考察してまいりましょう。
ちなみに去年の集計&考察はこちら。
去年は社台系クラブがやや成績落ち気味傾向にありました。今年からはインゼルサラブレッドクラブが登場、一口馬主クラブはさらに競争激化を極めようとしています。淘汰されるクラブが出てもおかしくない時代に突入です。果たして今年はどんな結果なのか。
この集計も今回で4回目になるんですね。この4年間の推移も比較して、どういったクラブがどんな傾向や特徴を持っているのかもみて参りましょう。
2023年3歳馬の一口馬主クラブ別勝ち上がり率
ズバリ!こうなりました!
クラブ | 募集頭数(頭) | 勝上頭数(頭) | 勝上率(%・前年比) |
---|---|---|---|
大樹 | 11 | 6 | 55(+22) |
グリーン | 19 | 10 | 53(+31) |
サンデー | 86 | 45 | 52(-5) |
社台 | 82 | 42 | 51(0) |
広尾 | 14 | 7 | 50(+25) |
インゼル | 19 | 9 | 47(-) |
DMM | 17 | 8 | 47(-8) |
ライオン | 20 | 9 | 45(-11) |
キャロット | 89 | 39 | 44(-3) |
シルク | 84 | 35 | 42(-6) |
ロード | 33 | 14 | 42(+3) |
ラフィアン | 42 | 16 | 38(-4) |
G1 | 62 | 22 | 35(-1) |
京サラ | 15 | 5 | 33(0) |
東サラ | 45 | 13 | 29(-21) |
ターファイト | 18 | 5 | 28(-5) |
ウイン | 37 | 10 | 27(-7) |
ユニオン | 44 | 10 | 23(-3) |
ノルマンディ | 58 | 13 | 22(-17) |
ローレル | 14 | 3 | 21(-15) |
YGG | 6 | 1 | 17(-33) |
ワラウカド | 7 | 1 | 14(+4) |
友駿 | 13 | 1 | 8(-1) |
中央競馬のみの集計です。ただし地方交流戦勝利馬は数に含んでいます。数えミスがあったらごめんね!
勝ち上がり率トップは大樹レーシングクラブ。そして2位にはグリーンファーム愛馬会。両クラブが去年よりも大きく数値を上げてワンツーゴール。そしてサンデーや社台といった大御所が続いています。
社台系は去年に続いてやや成績を落としている印象ですね。新参のインゼルはまずまずな滑り出し。
インゼルが登場したことで相対的に取れる勝星数が減ったといえなくはないですが、日高サイドが頑張っている気配も感じます。
やはり種牡馬ディープインパクトがいなくなったことは影響しているのでしょう。種牡馬のレベルは全体的に上がっており、日高系からも名馬が登場する可能性が格段に上がってきているのだと思います。
そして勝ち上がり数について、今年も意味もなく円グラフにしてみました。こちらっ!
社台系は最低でも勝ち上がり率40%は超えていてほしいものですが。東サラは京サラに勝ち上がり率で敗れるという、数年前ならちょっと想像できない年となりました。
安定感が売りだったウインやノルマンディーの成績も今年は案外ですね。我が家が入会している友駿とユニオンは引き続き低調気味です。
YGGは一見大きく成績を落としているように見えますが、地方競馬に結構力を入れており、そちらの成績はなかなか良いようです。
ワラウカドは…もう言葉が出ない。
全クラブ合計の勝ち上がり数
全クラブを合計すると、全中央出走馬835頭(去年比+27頭)に対して、勝ち上がり頭数は324頭(ー22頭)、勝ち上がり率は39%(-4%)でした。
なんと、今年は集計開始4年目にして初めて40%を切りました!
これはかなり象徴的な数字だと思いますよ。インゼルの登場もあって募集馬数自体は増えている。それなのに勝ち上がり頭数は減少。クラブ全体としてみると成績が下がっていますね。大レースではサンデーや社台などが頑張っている印象ですが、マクロな視点でみると個人馬主や共有馬主などが上昇気流に乗っていることになります。
まあそんな中で、勝ち上がり率66%を誇る我が家の出資馬たちは優秀だな!
自画自賛!
しかしちょっと危機感は覚えますね。
セールでの取引額が高騰傾向だから、いい馬はクラブ提供ではなく上場される流れが主流になりつつあるとか、そういう背景もあったりするんですかね。やっぱりこうやって全体の数字にしてみると現実的に浮き彫りになってくるデータってありますね。
平均募集価格と勝ち上がり率の相関関係を見てみる
こちらも恒例、クラブごと、平均募集価格と勝ち上がり率の関係を見てみます。
赤い丸が勝ち上がり率。勝ち上がり率順に並べているので、赤い丸は右に行くほど下っていきます。
青い丸が下にあるほど、募集価格が安めのクラブね。
赤い丸と青い丸が離れているほど、価格と勝ち上がり率の乖離が激しいクラブってことになりますな。
赤丸よりも青丸がけっこう上に位置している、高値感の強いクラブは4つ。DMM、東サラ、ワラウカド、そして友駿。
ワラウカドは本当に笑えないし、友駿も黒歴史を突破できませんね。
去年の高値感強めクラブはワラウカドと友駿だけだったんですけどね。
逆に安値感の強い、赤丸よりも青丸がかなり下に位置しているクラブは、好成績の大樹とグリーンを筆頭に、社台、広尾、ラフィアンや京サラもいいですね。
ここ数年の結果を加味すると、京サラはかなり頑張っているといっていいのでは。企業努力が感じられます。次世代からは京サラの主戦場であるダートレースが整備されますし、さらに数字を上げていく期待感も高い。すごいぞ京サラ。
ラフィアンも安定しているよなあ。他頭数募集していて安定的に勝ち上がり率をキープできているクラブは、やはり優秀なんだなと思います。
そういう意味では我がユニオンも、数字自体は低いながら勝ち上がり率は横ばいで良くも悪くも安定しているんですけどね。
まあしかし、募集馬の少ないクラブを中心に、クラブは浮き沈みってのはどうしても付き物なので、こうやってみると今年はそんなにクラブごとであまり顕著な傾向ってのは感じられないですね。社台系がやや勢力を弱めた程度で。
やっぱりクラブ全体で成績が落ちた点が無視できないよなあ。
来年は勝ち上がり率は43%くらいに戻るといいんですけども。
平均募集価格と勝ち上がり率の相関関係は0.51程度で、これは去年とほど同値。ある程度の相関関係を示しています。
全体として募集馬の価格設定はまあまあ妥当だった、と見ていいでしょう。
入会しているクラブについて
まず友駿ホースクラブからですね。
去年に続いて勝ち上がりは1頭。控えめにいって酷いです。
ちょっと前なら勝ち上がり率50%の年があったりしたんですよ。それが2年連続1頭て。
引き続き、この事実を厳粛に受け止めてほしいですねクラブには。
でも会報なんかを見ていても現実逃避気味と言いますか、低調な成績について全く触れてないんですよね。つい先日ツアーもありましたが、大盛り上がりでした的な報告しかしてないし。本当にそうなの?そういうノリでいいの?
ユニオンは、成績が振るわなかった年はきちんと責任者が頭を下げるような言葉を会報に載せていたことがありましたからね。やっぱりこういう企業の姿勢ってね、大事だとは思うんですけどね。
本当に本当にこれは常々実感することなのですが、金融商品を扱っているという自覚が足りない一口馬主クラブってのが少なからず実在するんですよ。サーバー攻撃を受けたとかいって責任を他に押し付けようとしていた某クラブとかも。やっぱりそういうのって成績にも出てくると思いますよね。
現実を重く受け止めて、どういった具体的解決案を提示できるのか。そういうクラブってのが、生き残っていくと思います。資本主義下の当たり前な自然淘汰ですな。
まあとにかく友駿は抜本的な改革をしないことには、現状が変わっていくことはないと思います。最近ではセールに参加し、なかなかの価格で正直血統的に「どうなの?」ってタイプを購入していましたが…。
走るかどうかは全く別として、中途半端なところを攻めた感はあるんですよね…。
京サラのように安値な馬だけに絞るとか、逆にユニオンのようにちょっと高めを狙うとか。そういうのじゃなく、中堅なタイプを競り落とすっていう。そのどっちつかずな方針も正直疑問ではある。まあ好成績を出せれば誰も文句は言わないですが。
まだまだ改革は必要でしょう、友駿。頑張ってほしいけども。。。
一方のユニオンは、まあ本当に良くも悪くもですね。毎回ここでも書いていますが、口数の埋まりにくいマイノリティなクラブ。じっくり馬の成長を見ながら慎重に出資していれば、大損失にはならないとは思っています。
全体の勝ち上がり率は20%台ですが、慎重に選んでいけば、出資馬の勝ち上がり率30%台くらいは目指せると思うんですけどね。
実際我が家の場合、ユニオン所属の3歳までの世代で9頭出資して3頭が中央で新馬・未勝利を勝っています。他に地方転籍からの中央復帰は3頭いて、さらにその中央復帰組3頭の中で1勝クラスを勝った馬が1頭。儲かっているいないは別として、中央出資9頭のうち6頭が1勝クラス以上に在籍しているってのは、十分に楽しめているのでは。
しかしユニオン。先行募集馬の成績が引き続き低空飛行なのは気になります。
クレセントウイングは勝ち上がりはしたものの期待ほどの結果は出せていませんし。次世代の話になりますが、2歳のフォートポータルはデビュー戦が散々でさっそく去勢が決まったし。引き続き、セール購入の先行募集馬には警戒する必要がありそうです。
じっくり慎重に、がユニオンの真っ当な対策ですな。
まとめ
今回の集計と考察を踏まえて、まとめを箇条書きしましょう。
- 去年に続き社台系大御所クラブが下降気味
- 中堅クラブはセール購入が中心のクラブが飛躍
- クラブ全体の勝ち上がり率は4%と大きく下降
- 京サラが上昇一途
- 新参インゼルはまずまずのスタート
- これまでオススメクラブとしていたウインとノルマンディは成績下降
- ここ数年で成績が安定しているのは社台・サンデーの2大巨頭(身も蓋もない)
去年の締めにはこんなことを書いていました。
新参インゼルサラブレッドクラブがいきなりクラシック制覇級を出すのか。これによって来年は成績が大きく左右されることでしょう。
この展望は外れまくりましたね。インゼルからはクラシック制覇級は出ず。また、クラブ全体の成績にさしてインゼルは影響を与えていません。本当に無難な立ち上がりでした。
それよりはこれまで順調だったクラブが下降傾向にあり、DMMや京サラ、あるいはYGGといった佳境に入っている若手クラブの影響力が大きかったようにも感じられます。
あとは生産市場界隈の背景として、セール上場馬の取引額がインフレ傾向なのも大きいのかなと。高値取引馬を競り落とせるだけの体力を持っているオーナーに質の良い馬が流れていっている印象です。この流れはしばらく止まることはないでしょう。
友駿には引き続き積極的にセールへ顔を出し、新しい血を取り入れていってほしいものです。
質の良い産駒の見極めや、資産の配分や収支の調整など、クラブの企業としての努力が試される数年になると思います。ただただ馬を右から左へ流しているだけではなんともならない時代になりました。本当に、淘汰されるクラブ、この先3年くらいで出てもおかしくないよね。
そんな中で、時流を読み安値感のある馬を仕入れている京サラは、この先も成績を伸ばしていくかもしれません。今入るなら、京サラがいいんじゃないかしら?
それではまた1年後、同じ集計と考察をやりたいと思います。