日本に来てから3世代ほどがデビューし、ようやくデータも集まってきたカリフォルニアクローム。考察する時がやってまいりました。

とはいえ、現状で決して成功している種牡馬とはいえません。
カリフォルニアクロームの国内種牡馬デビューについては以下の記事でも触れておりました。
どうも輸入当時がピークで、その後馬産地のトーンも低くなっている感が否めません。
という予想を書いていましたが、悲しいことにこれがほぼ的中しつつあります。
当時、芝ダートともに結果を出せるのではないか(少なくともウイポ2020では芝◎ダート◎だった)とも書きましたが、これも正解と言えそう。

とはいえ、どっちともつかずな配合を織りなすと、非常に中途半端で結果が伴いにくい種牡馬という風にも感じております。
ただ、です。
現状では下がり傾向でも、ここからもう一度上向くタイミングが来るのではないかと私は睨んでいます。

ぼちぼち大物が1頭2頭出てくるのではないかと期待しているのです。
特定の配合だけで結果を出すタイプだと思うのですよね。果たしてどういった配合が優秀な因子を持つのか、まだまだデータ数は少なく偏りの癖も強いですが、先物買い感覚で本記事を書いてまいります。
種付数&種付料の推移
| 年度 | 種付頭数 | 種付料 |
|---|---|---|
| 2020年 | 143頭 | 400万円 |
| 2021年 | 154頭 | 400万円 |
| 2022年 | 148頭 | 400万円 |
| 2023年 | 73頭 | 400万円 |
| 2024年 | 71頭 | 400万円 |
| 2025年 | 53頭 | 200万円 |
この通りで、産駒がデビューして以降、期待ほどの結果が出ず、種付け料種付数ともに下降しています。

2026年の種付け料はさらに半額となり100万円の予定。
金額の割に、ここまで思うような実績が出ていないですからね。このプライスダウンは致し方なし。
一方で100万円は安すぎと感じます。これまで種付け料の高さから躊躇していた生産者からの需要が高まり、種付数が増えてくれるといいですね。その中から強者登場に期待です。

カリフォルニアクロームは、期待も金額も、これまでが高すぎたのだと思う次第です。
賞金上位50頭の母父内訳
カリフォルニアクローム産駒の賞金上位50頭(総賞金844万円以上)の、母父馬について頭数別に内訳を出したものがこちら。
| 頭数 | 母父名 | ||
|---|---|---|---|
| 5頭 | ディープインパクト(21) | キングカメハメハ(11) | |
| 4頭 | シンボリクリスエス(5) | サウスヴィグラス(5) | |
| 3頭 | マンハッタンカフェ(8) | ハーツクライ(4) | |
| 2頭 | ダイワメジャー(6) | ストリートセンス(4) | クロフネ(9) |

1頭は省略。母父名カッコ内の数字は3歳以上の該当馬数の数字です。たとえば父カリフォルニアクロームで母父ディープインパクトの現3歳以上の該当馬は21頭。そのうちの5頭が賞金トップ100内にいることを意味しています。
今回ちょっとだけ例外を入れておりまして、母父ハーツクライについては2歳馬ですでにトップ50以内にいる馬が1頭(ハセノガイセン)います。3歳以上を対象としていますが、母父ハーツクライについては2歳馬を含めた4頭のうち3頭がトップ50位以内にいることになります。
芝も走らなくはないがやっぱりダート
カリフォルニアクローム自身、ドバイワールドカップをはじめダートG1を7勝、さらに芝でも実績を出している二刀流。産駒も配合によって芝にもダートにも出るようですが、やっぱりダートタイプを今後は輩出していくことになることでしょう。

その理由は、言い方がよくないかもしれませんが、地方ダートで潰しがきくからです。
種付料が100万円になったことで「はなから地方ダートで活躍させたい」という思惑で自前繁殖馬と種付させる生産者は増えることでしょう。必然、今後はダートタイプに偏っていくはず。
400万円の時代だと、地方から卸す産駒を生産する戦略は憚られますからね。100万円であれば、その運用も可能になっていきます。
これまでコスパが悪すぎた
以上からの結論として、これまでカリフォルニアクロームはコスパ悪すぎ種牡馬だったわけ。

100万円となった今こそ!輝ける種牡馬なのです!
サマーセールなどでも、地方ダートで走らせたい馬主を中心に買いが頻繁に入り、活発に取引されていくことでしょう。
SS系牝馬との相性はいいはず
さて冒頭の母父内訳に話を持っていきます。

サンデーサイレンス(SS)牝馬との相性を見込まれての導入だったと思いますが、現状では「まずまずかな…」と言ったところ。
正直、他の輸入種牡馬に比べると物足りないですね。
ディープインパクトが現状で3歳以上が21頭デビューしていて、5頭しか50位以内にいないのはちょっと案外。マンハッタンカフェやダイワメジャーも、ほんと「まずまず」なんですよね。
シアトルスルーのクロスが理想
しかしよく見てみるとハーツクライだけはここまで上々の結果を出せています。

ただこれはハーツクライ自身がSS系の中で突出した相性を発揮させているというより、たまたまシアトルスルーやエーピーインディのクロスを持っている産駒が多かったため、と考えられます。
具体的にはラヴアンドライクやユキノクラウンが該当します。2頭の血統表は要チェック。

母父シニスターミニスターやマジェスティックウォリアーも面白そうですねえ。
というわけで母父シンボリクリスエス!
5頭中4頭がランクインの母父シンボリクリスエスは、シアトルスルーのクロスがもれなくついてきます。これで決まり!

また、サンデーサイレンス持ちですと3頭中3頭が50位以内という好成績。
というわけで父シンボリクリスエスで母父サンデーサイレンスの牝馬との相性は◎としておきましょう。
SSを持つミスプロ牝馬も○
SS牝馬よりはミスタープロスペクター(ミスプロ)系牝馬との相性の高さがうかがえますね。
母父キングカメハメハは11頭のうち5頭が上位50に入線。
さらに内訳を見てみると、SSを持つ母父キングカメハメハ牝馬が賞金をたくさん稼げている傾向に気づきます。

つまるところ、父キングカメハメハで母父サンデーサイレンス、あるいは母母父サンデーサイレンスといった牝馬と、カリフォルニアクロームは好相性といえそうです。
手本としたいエルサトアナ
以上の成功例を見た後に、手本としたくなるのがエルサトアナ。

父カリフォルニアクロームで母父キングカメハメハ。シアトルスルーの5×4。サンデーサイレンスの血は持っていません。
相性のいい母父と、シアトルスルーもしくはエーピーインディのクロス持ち。この両立で結果を出せる種牡馬と思います。正直、サンデーサイレンスはあってもなくても…かも。
例外的サウスヴィグラス
さてミスプロ系牝馬の中で突出して成績を出せているのがサウスヴィグラス。

母父にサウスヴィグラスを迎えると完全にダート馬となるようですね。
これはもう納得というかさすがというか。
100万円に種付料が下がることで、サウスヴィグラス牝馬に付けられる機会も増えることでしょう。
とはいえサウスヴィグラス牝馬は選り取り見取りなところがあり、海外種牡馬ならディスクリートキャットやニューイヤーズデイ、国内なら当然にディープ系やゴールドアリュール系とも付けられるわけで、敢えてカリフォルニアクロームを選ぶ蓋然性ってのも薄いんですけども。

今後かリフォルニアクロームが安定感を発揮するとしたら、この母父サウスヴィグラスで間違い無いでしょう。
有望そうな母父3傑
冒頭の賞金上位内訳にはいませんが、今後将来有望な母父候補が3頭います。それがハービンジャー、ゴールドアリュール、キングヘイローです。

いずれも集計対象馬は2頭いて、その内の1頭が50位以内にランクインしていました。
とはいえハービンジャーはちょっとリスキーというか、主流のSS系種牡馬などを付けるのが無難。あまりカリフォルニアクロームの子を見る機会は今後もなさそう。
ゴールドアリュールはいいですよね。今後ダート馬が量産されていく未来を想定すると、母父ゴールドアリュールの名前を見かけることは増えていくはず。
キングヘイローは、そもそも肌馬自体が少ないと思うので、今後も数は多く無いかも。でも、いたら無条件で印をつけたい。ちなみに先述のエルサトアナも母母父にキングヘイローがいます。
気になる2023&2024年産カリフォルニアクローム産駒
今回の考察をもとに気になる馬を挙げていきます。時期も時期なので、2023年産と2024年産、両方からチョイス。
2023年産
| 馬名 | 母父 | 一言 |
|---|---|---|
| リメンバーウェル | シンボリクリスエス | すでに地方1勝、近親にソングオブウインド |
| サクセスビービー | シンボリクリスエス | すでに地方1勝、近親にアルフレード |
| シイズダイヤモンド | シンボリクリスエス | SSのクロスはなし |
| ティアップリバティの2023 | カジノドライヴ | 母は地方12勝 |
| バードックバイパー | アグネスタキオン | すでに地方1勝、どこかで穴を開けそう |
| トゥレイス | ダイワメジャー | ノルマンディー募集馬 |
| リコーパトリオット | サウスヴィグラス | すでに地方1勝、これまたどこかで穴を開けそう |
| スマートビガー | ゴールドアリュール | すでに地方2勝、母母父サウスヴィグラス |
| ニューカワイイ | ゴールドアリュール | 母コパノビジン、どこかで穴を開けそう |
2024年産
| 馬名 | 母父 | 一言 |
|---|---|---|
| スズカエルマンボの2024 | シンボリクリスエス | 名牝系、これは注目 |
| ブライエニーの2024 | シニスターミニスター | 近親にキングズソード |
| ハヤブサレディゴーの2024 | サウスヴィグラス | 近親にラブミーチャン |
| スマートレモラの2024 | ゴールドアリュール | 近親にスマートレイアー |
| ミリオーレの2024 | ゴールドアリュール | ユニオン募集、優秀な牝系 |

2024年産の血統登録馬は52頭。この中から大物が出ないと、カリフォルニアクロームの未来は…。
正念場の世代ですね。
まとめ
初年度種付け料400万円という期待を込められて国内種牡馬デビューしたカリフォルニアクローム。ここ3世代ほどは結果が伴っていないですが、100万円とリーズナブルな価格になるこれからが収穫期になるのではないでしょうか。

お安くなったことでまたお嫁さんがたくさん集まってくれるといいですが。
100万円の2026年種付け世代、つまり2027年産の中には、将来楽しみな産駒が多数いると思うんですがねえ。いかがでしょうか。

その頃にまたクラブで多数募集されるといいんですがねえ。地方を中心に。まあされなかったとしても、馬券できっちり回収はしたい。
今後も毎年ペースで、カリフォルニアクロームの考察はしていきたいと思います。データがたまるほど、見えてくるものはあるはず。

