ユニオンオーナーズクラブは、日高地方の牧場が中心となり、市場を介さず生産馬を直接提供するのが基本スタイルの一口馬主クラブです(先行募集馬のみセール馬です)。
クラブの運営にあたっては、2020年7月現在19の牧場が株主となり、切り盛りされています。
ということは、株主牧場はクラブ存続のために、提供する馬にもかなり力を入れる必要があるということになります。
個人馬主や大手クラブには有力な馬を配し、比較的小さなクラブには期待薄な馬を回すという、某なんちゃら牧場とか某なんちゃらファームがあるなんて噂を耳にすることがありますが、ユニオンの場合、株主牧場は決してそういうわけにもいかないのです。
従いまして、ユニオンの株主牧場提供の馬は、けっこうな確率で賞金を稼いでくれるという予測が立ちます。
本当にそうなのか。今回は、2020年7月時点での、ユニオン株主牧場3歳以上の馬の「出資額回収馬率」を比較してみました。
あくまで素人による「目視での概算」です。完全に正確なものとは限りませんので、くれぐれもそこんところお願いします。取り扱い注意です。参考程度にしてね。
ユニオン株主19牧場の出資額回収馬率
まず出資額回収馬率ですが、「募集額を回収した(つまり出資額回収率100%突破)馬がどれだけいるか」をあらわした率になります。回収率ではなく、回収「馬」率です。
たとえばA牧場の生産提供馬のうち、10頭中1頭が出資額を回収していたら、募集額回収馬率は10%です。回収率の高い低いは問わず、とにかく100%を突破した馬が何頭いるかの数値です。
また、もうひとつ大事なことを言っておきます。これまでにも何度か書いてきたと思いますが、出資額回収率というのは、その馬の能力が優れているとか優れていないとか、そういう次元の話ではなくて、募集額の設定が適切だったかどうかを測る指標だと思っています。市場を通すのではなく牧場から「直送」のユニオンはとくにこの数値が大切なのではないでしょうか。
要するに、強気なお値段のところ、良心的なお値段のところが、わりかし瞭然とするんですよね。
その点踏まえていただいてから、ご覧いただきましょう。こちら!
株主牧場 | 募集額回収馬率 | 2020年度の生産提供馬 |
---|---|---|
白井牧場 | 38% | フローレンスガールの2019 |
出口牧場 | 8% | ゴールデンポケットの2019 |
豊洋牧場 | 22% | キュートガールの2019 |
槇本牧場 | 22% | スウィートラブミー2019、ブライトエルフの2019 |
井高牧場 | 5% | なし |
岡田牧場 | 25% | コーディーラインの2019、フォースデラネイチャーの2019 |
キヨタケ牧場 | 7% | ワイルドゲッツの2019 |
グランド牧場 | 34% | アースエンジェルの2019、タイニーダンサーの2019、スズカエルマンボの2019、ゴールドチェイスの2019 |
谷岡牧場 | 17% | なし |
野坂牧場 | 13% | なし |
橋本牧場 | 19% | なし |
服部牧場 | 16% | レディインディの2019 |
藤原牧場 | 25% | グローバルソングの2019、エアラホーヤの2019 |
増本牧場 | 6% | なし |
矢野牧場 | 22% | ライトインパリスの2019、シスタリーラヴの2019、アンシェルブルーの2019 |
日進牧場 | 30% | キングスベリーの2019 |
ヒダカファーム | 24% | マルラニビスティーの2019、ムードンの2019 |
宮内牧場 | 12% | デンファレの2019、ピエノフィオレの2019 |
辻牧場 | 6% | テンイムホウの2019、エスジーアンクルの2019、ティファニーケイスの2019 |
上記は2歳馬を含んでいません。また、事情によってデビュー前に引退した馬もいたりします。当然回収率0%ですが、これは数に含んでいます。
いやはやこうして数字にすると、かなり回収馬率に差があることがわかりますね。あ、ちなみにこの牧場の順序は、公式に掲載されている順です。たぶん、日高地方の北西側から地域順みたいな感じです。
白井牧場さんがいちばん高かったのね!
最近はスライリーで新馬勝ちし早くもユニオンに2歳馬初勝利をもたらした白井牧場さん。ユニオンだけでなくほかのクラブにも回収率100%を超える生産馬がゴロゴロいます。まじでゴロゴロいます。さすがすぎる。
2020年度募集馬のフローレンスガールの2019もそりゃ人気になるわけですわ。
そのほか、気になった点を以下書いていきます。
辻牧場の低さに触れないわけにはいかない
この事実、私もユニオンに仲間入りしたときから気がかりだったんですよね。
辻牧場さんの募集額回収馬率は6%。これは株主牧場の中ではかなり低い方です。生産提供馬数はかなり多い牧場さんなのですが。
私が出資している2016年産のラヴィッスマンが辻牧場さん。出資時はこの回収馬率が気になってリスクを感じてはいたのですよ。
結果、ラヴィッスマンは現在地方を3勝しようやく中央への復帰が見えてきた段階。3600万円という高値の募集馬でしたが、活躍ぶりは非常に微妙な線であります。
辻牧場さんの生産馬に出資を検討している際は、かなり吟味に吟味を重ねる必要があるかなと思います。募集価格との比較は絶対ですね。
今年もエスジーアンクルの2019が私は気になっているわけですが。ラヴィッスマンが現状このような感じですので、出資は控えることになると思われます。
グランド牧場の安定感はハンパないですが
グランド牧場さんはさすがですね〜34%。安定感抜群。というか全体的に、血統に対して募集価格が安値すぎるような気もします。これが募集額回収馬率の高さにつながっている大きな要因ともなっているようです。一例として、アースエンジェルは800万円の募集価格で5728万円の賞金を稼ぎ、回収率は716%という高さです。
そんなアースエンジェルの2019をはじめ、今年も東西2頭ずつ計4頭の提供。確率論でいえば、4頭全てに出資すればその内の1頭はきっちり募集額を回収してくれる計算となります。運が良ければ2〜3頭も回収率100%突破いけますし、500%を超える馬がいても不思議ではありません。
ちなみに私はユニオン・グランド牧場・伊藤圭三厩舎の三拍子をグランドラインと勝手に名付けています。回収率高いですよこのラインは。
しかしそれでも私は、グランド牧場には出資しにくい理由がありまして…。
募集カタログ写真のピントが甘いせいで出資する気になれないのです。
けっこう致命的だと思うんですけどね。なぜかカタログの写真、グランド牧場さんだけは外注のカメラマンさんではなく内製なんですよ。いろんなクラブに提供するから、牧場内で一気に済ましているってことなんでしょうか。
ツアーで生で観ている方なら吟味しやすいでしょうが、今回はそのツアーも中止ですし。けっこう口数が埋まるスピードにも関わると思うんですよね。どうなんだろう。
私は別に馬体重視派ってわけでもない(繋がどうとかトモの張りがどうとか正直わからない)んですが、やっぱり馬体から漂う雰囲気というか、単純に「見た目が好みかどうか」を基準のひとつにしているので、ピント甘い問題がほんと残念なのです。
今年もグランド牧場さんの募集馬は見送っちゃう可能性が高いかなあ…。写真問題でどうしてもほかのお馬さんの方に目が行っちゃいます。
募集額回収馬率は20%がひとつのボーダーか
単純にこの結果数字に従い、募集額回収馬率20%を超えている牧場の馬たちから5頭選んで出資する、なんていう出資スタイルもあながち悪くはなさそうですよね。たとえば2020年募集馬だったら、ゴールドチェイスの2019、エアラホーヤの2019、シスタリーラヴの2019、キングスベリーの2019、ムードンの2019、以上の5頭に出資する、みたいな。なかなか私好みなラインナップになりました。
20%未満の牧場さんの生産提供馬が決して悪いわけではないですが。リスクの少ないポートフォリオを組む上では、優先順位は低くなってしまいそうです。
提供数トップはたぶん槇本牧場
みんな大好き槇本牧場さん。なのかどうかは知りませんが、私は大好きですね。今年こそ、エルフ一族に出資をしたいと考えています。
そんな槇本牧場さんが、株主牧場の中ではユニオンへの生産提供数がトップのようです。間違っていたらごめんなさい。
その数の多さでありながら、募集額回収馬率が22%というのは素敵だなと。やっぱり行くしかないですね今年こそは。
ブライトエルフの2019への出資はほぼほぼ確定でございます。
安値感トップはたぶんヒダカファーム
ヒダカファームさんの募集額回収馬率は24%とこちらもなかなかの数値。その理由としては募集価格の安さが大きいように思います。ヒイナヅキの募集価格600万円は、今思えば安すぎな気がする。今さらだけど。
ちなみにヒイナヅキの回収率は現在668%ですな。
今年の募集馬2頭も1000万円を切っていて比較的安値傾向。この募集額回収馬率ですから、血統や馬体を考慮せず迷わず出資っていう手もありそうですね。
株主でない牧場にももちろん注目ですよ!
以上、株主牧場に関する気になるデータをまとめてみました。
今回は回収率100%超えの募集馬が何頭いるかの基準で比較しましたが、別に100%ではなく50%でも200%でもいいと思います。大事なのは横の比較ですので、基準値自体にあまり意味はありません。「1勝以上した馬が何頭いるか」「入着率はどのくらいか」みたいなのでもいいと思います。
コスパ重視の私は、募集価格を回収するほど賞金を稼いだかどうかに今回照準を当てました。
株主牧場の話ばかりでしたが、ユニオンにはもちろん「非」株主牧場からの募集馬もたくさんいます。しかも今年は協和牧場さんやハクレイファームさんなど、新しい顔ぶれもちらほら。この中から回収率をあっという間に振り切る馬が出る期待も十分にあるわけです。
今回はあくまで株主牧場の比較であった点をお忘れなく!
あえて株主じゃない牧場中心に出資していくスタイルも一興ですね。ちなみにユニオン「非」株主牧場で募集額回収馬率が高いのは、下河辺牧場さん辺りでしょうか。ちゃんと調べてないので分かりませんが。やっぱり有力な牧場さんは総じて成績が良いですね。
さまざまな視点から、出資馬を検討するのが、一口馬主の楽しみです!