【2025年版】母父の血・BMSについて考える

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本記事は2025年1月時点のデータを参考に作成しています。

母父(BMS)に関する考察の2025年版です。

2024年の記事はこちら。

まずは2024年に挙げた「気になる母父を持つ2024年デビュー2歳馬」の中に、目立った活躍をしている馬がいるか見てみましょう。

2024年は注目の母父としてエンパイアメーカー、アフリート、サウスヴィグラス、ルーラーシップ、ワークフォースを挙げました。

その中では、対象馬が16頭ともっとも少なかった母父アフリートから、重賞にも出る猛者が現れました!

まず順番通りに母父エンパイアメーカーから。キミオモウハナ(父ルヴァンスレーヴ)がデビュー戦で穴を開けています。今後勝ち上がりも見込めますね。

そして母父アフリート。テディージュエリー(父ヘニーヒューズ)がダートクラシック路線のブルーバードカップに出走するほどの活躍ぶり。ピコダイアル(父エスポワールシチー)も既に地方で2勝。ロンドンプランの全妹サウスバンク(父グレーターロンドン)も中央で2連勝。

いやはや2025年も目が離せませんね母父アフリート。

母父サウスヴィグラスでは京サラのトラヴェリンバンド(父シニスターミニスター)をいの一番に挙げました。デビューから2着3着3着と好走、勝ち上がりも時間の問題でしょう。

母父ルーラーシップからはインターポーザー(父エピファネイア)は既に中央を1勝、今後も注目であります。そしてティラトーレ(父リアルスティール)はフェアリーステークス2着。

やっぱり母父ルーラーシップはいいぞぉ!

母父ワークフォースは2頭挙げましたがデビューはまだみたいですね。引き続き動向を見守りたいところです。

それではいよいよ本題。2024年上位50頭の母父成績を比較考察します。

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2024年母父ランキング賞金上位50頭の成績

順位馬名(前年順位比)勝馬率(前年比)EI(前年比)
1ディープインパクト(→)25.6(-1.2)1.1(-0.09)
2キングカメハメハ(→)27.5(1.8)1.17(0.05)
3マンハッタンカフェ(→)27.9(3.4)1.67(0.2)
4クロフネ(1)20.8(-3)0.89(-0.01)
5ハーツクライ(4)27.4(2.3)1.04(0.07)
6ハービンジャー(12)23.1(-0.1)2.02(0.93)
7シンボリクリスエス(3)21.1(-2.7)0.93(-0.21)
8ダイワメジャー(1)20.5(-1.9)0.83(-0.04)
9スペシャルウィーク(2)24.6(3.5)1.26(0.18)
10フジキセキ(2)23.1(2.6)0.93(0.01)
11アグネスタキオン(1)19.6(-0.5)0.8(0.04)
12フレンチデピュティ(→)23.9(-0.8)0.91(0.01)
13エンパイアメーカー(8)27.9(1)0.94(0.14)
14ルーラーシップ(26)28.1(-0.5)1.56(0.68)
15サクラバクシンオー(1)24.2(2.1)0.96(-0.01)
16ブライアンズタイム(3)16.9(-5.9)1.07(-0.19)
17ゴールドアリュール(10)23.7(0.4)0.77(0.14)
18ゼンノロブロイ(2)16.9(-7)0.68(-0.12)
19ヴィンディケーション(3)20(-7.8)8.09(2.04)
20ダンスインザダーク(3)21.3(1.4)0.76(-0.04)
21ガリレオ(8)28.6(-2.8)1.53(0.27)
22ネオユニヴァース(3)16.9(-3)0.61(-0.05)
23ステイゴールド(10)16.9(2.8)0.72(0.23)
24コングラッツ(115)52.4(-)5.04(-)
25ジャングルポケット(1)19.8(0.9)0.78(0.07)
26サンデーサイレンス(11)18.7(-5.4)0.95(0.05)
27アドマイヤムーン(4)18.5(3.1)0.81(0.13)
28タイキシャトル(4)20.7(6.3)0.75(0.12)
29アグネスデジタル(5)23.3(2.2)0.95(0.17)
30エクシードアンドエクセル(96)26.7(-)5.71(-)
31キングヘイロー(25)28.8(-3.8)1.14(-2.18)
32ジャイアンツコーズウェイ(9)22.2(-5.1)1.42(-0.54)
33デュランダル(43)25.8(-)2.45(-)
34ヴィクトワールピサ(20)21.9(-)0.74(-)
35サウスヴィグラス(2)22.7(-1.1)0.74(-0.08)
36スウェプトオーヴァーボード(16)23.2(-)1(-)
37ストームキャット(2)26.2(6.6)1.51(0.25)
38オルフェーヴル(33)23(-)1.02(-)
39モアザンレディ(5)37(-9.7)2.25(-1.55)
40メダグリアドーロ(3)46.3(18.4)1.44(0.11)
41ロージズインメイ(3)16.9(-9.7)0.91(-0.1)
42フランケル(9)37.8(-)1.56(-)
43ワイルドラッシュ(7)32.8(12)0.94(0.25)
44タニノギムレット(2)13.7(0.2)0.77(0.13)
45デインヒルダンサー(→)33.3(-3.7)2.53(0.47)
46ディストーテッドヒューマー(39)37.8(-)1.44(-)
47ロードカナロア(33)19.4(-)0.56(-)
48パイロ(11)17.4(-)1.08(-)
49ファスリエフ(20)20.9(-)1.13(-)
50ドバウィ(3)23.8(-)1.08(-)
平均値24.751.44
中央値23.151.01

勝馬率・EIはともに2024年を通しての成績です。勝馬率とEIの前年比が(-)となっているものについては、2023年は50位圏外だったことを意味しています。

ディープが連続首位

ランキング上位は順当といいましょうか。2023年に続きディープインパクト・キングカメハメハ・マンハッタンカフェの順となりました。

ディープインパクト1位はしばらく続くんじゃないですかねえ。

気になるのは2位3位。母父キングカメハメハはそろそろ数が頭打ち、母父マンハッタンカフェもすでに減少傾向にあります。

2025年の母父ランキングは、ディープ1位でキンカメ2位ほぼ確定として、3位以下はかなりの混戦模様となるのではないでしょうか。

「中央値」超えの母父馬

毎年恒例の重要データ、中央値を超えている優秀な母父馬をピックアップしていきましょう。

2024年は勝馬率が23.1%、EIが1.01を超えている母父馬が該当しています。ただし出走頭数が40頭を超えている馬に絞ります。

こちら!

  1. ディープインパクト
  2. キングカメハメハ
  3. マンハッタンカフェ
  4. ハーツクライ
  5. ハービンジャー
  6. スペシャルウィーク
  7. ルーラーシップ
  8. ガリレオ
  9. キングヘイロー
  10. ストームキャット
  11. メダグリアドーロ
  12. ドバウィ

赤字は初登場の対象馬です。

かねてより注目していたハービンジャーとルーラーシップがいよいよ上位常連組へ。どちらもEIの高さが示す通り大きいレースほど力を出している傾向です。とにかく速いペースに強いタフさがある。

ガリレオも安定して上位に来ていますし、ストームキャットもまだまだ健在。ドバウィが50位にランクインしたのは注目どころですね。

数字的に惜しかったのはジャイアンツコーズウェイ(勝馬率22.2%、EI1.42)、スウェプトオーヴァーボード(勝馬率23.2%、EI1)。

今回初めてランクインのオルフェーヴル(勝馬率23%、EI1.02)もこれからさらに数字を伸ばしていきそう。大物登場間近か。

フランケル(勝馬率37.8%、EI1.56)は出走頭数が37頭のためギリギリ対象馬になりませんでしたが、実力のほどは言わずもがな。2025年は出走頭数がさらに増えそうですし、これからさらに高い数字を出していけそうです。

ディストーテッドヒューマー(勝馬率37.8%、EI1.44)も出走頭数37頭でした。「そんなに活躍馬いたっけ?」と思いましたがサトノルフィアンがなんだかんだで1億円超えなんですね。

母父種牡馬多様化の時代

さてこの中央値なのですが、年ごとで見ると気になる傾向に気づきます。

年々、勝馬率とEIともに中央値が下降傾向にあります。

EIだけ拾い上げてみると、2024年は1.01。2023年は1.06で、2022年が1.05、そして2021年は1.12くらい。2022から2023年でちょっと上げているものの、下降基調なのです。

つまりどういうこと?

多彩な母父種牡馬が満遍なくレース賞金を稼ぐようになっている。種牡馬実績が均されていっている、ととらえることができますね。

海外種牡馬が母父ランキングに多数食い込んできた点も見逃せません。ガリレオがいよいよ本領発揮してきましたし、フランケルも早くもランク入り、ドバウィが50位に入ってきたのもポイント。ほかにも大レースで高額賞金をもぎ取った母父海外種牡馬の馬が多くいて、母父種牡馬も多様化してきたなと感じる次第です。

母父ディープインパクトが必ずしも大物を出しやすいとはいえないし、まさかという母父から大物が生まれるのも不思議ではない。そう予感させるランキング結果となりました。

2025年以降もEI中央値は1.00前後で落ち着くのではなかろうか。

気になる母父を持つ2025年デビュー2歳馬

今回のデータ考察を踏まえて、2025年デビュー予定の2023年産馬から気になる馬をピックアップ。

なるべくマイナーで対象頭数少なめなところから挙げていきましょう。去年挙げた好調の母父ルーラーシップやエンパイアメーカーあたりは対象馬も増えてきたので、後日個別記事で改めて考察予定。

  1. キングヘイロー
  2. スウェプトオーヴァーボード
  3. フランケル
  4. ディストーテッドヒューマー

今後しばらく、ここで挙げるのは海外生産種牡馬が中心になるかもですね。理由は先ほど挙げた通り、種牡馬の底上げ多様化によるもの。

1頭ずつ見ていきましょう。

キングヘイロー

母父キングヘイローの2歳馬は49頭。3歳馬と同じ登録頭数のようですね。

イクイノックスの引退でランキングは落ちましたが、ダート路線で活躍のキングズソードがいますし、これからまた大物登場の予感がします。予感がします!

母父キングヘイローの期待馬に出資しているから鼻息荒そうね!

超のつく良血ですから。否が応でも期待しちゃいますよぉ!

どんな種牡馬とも満遍なく結果が出せている印象の母父キングヘイロー。基本的にはリファールの血を意識した配合が良いと思われますが、日本馬には結構の割合でリファールが含まれていたりします。

伝説の馬の全妹がいたり、コントレイルとの良血もいたり。まあ賑やかですな。

馬名一言
エイシンネメシスの2023エイシンヒカリリファール3本
ゼフィランサスの2023キズナディープボンド全妹
リントゥラウルキズナ良配合
シャトーブランシュの2023キタサンブラックイクイノックス全妹
カットソロコントレイル矢作厩舎&藤田晋氏のタッグ
ヘイローフジの2023コントレイルmy出資馬!
プリンセスデイジーシニスターミニスター全兄は中央3勝
シャイニングサヤカの2023シルバーステートウォーターナビレラ全弟
シーホースの2023トビーズコーナーサマーセールで1045万円
コーラルビューの2023ヘニーヒューズ姉はmy出資馬

基本的にはディープ系種牡馬との配合が鉄板なわけですが、ダート系の人気種牡馬との配合も多いですね。シニスターミニスター、トビーズコーナー、ヘニーヒューズ、いずれも活躍例が多いです。

結構いい種牡馬とつけてるのね。

母父キングヘイローの期待値の高さがうかがえますね。

この中で馬券的な妙味を感じているのはエイシンネメシスの2023。エイシンさんところの馬は人気になりづらい傾向。リファールを意識したクロスは魅力ですし、どこかしらで大駆けするかもしれません。

そして何と言っても出資馬のヘイローフジの2023には期待が膨らみます。

この世代はディープボンドやイクイノックスの活躍によって母父キングヘイローが再評価され始めた後の、最初の種付世代とも言えます。各牧場とも質の高い種牡馬を軒並み種付けしていることがうかがえますし、この世代からは超大物がまた登場するのではと予感しています。ヘイローフジの2023もその1頭であって欲しい。

スウェプトオーヴァーボード

母父スウェプトオーヴァーボードの2歳馬は46頭。ぼちぼち数は下り坂傾向と思いきや1歳馬も50頭を超えており、まだまだ対象産駒は増えていくみたいですね。

ダート路線の再整備に伴って、脚光を浴びる機会も増えていきそうです。

キングヘイローと同様でディープインパクト系種牡馬との親和度は高め。またハーツクライ系とも活躍馬がちらほら輩出されています。ヤマニンウルス(父ジャスタウェイ)はその代表格。

芝もダートも成績が良いのは◎。スウェプトオーヴァーボードというと産駒は短距離だと思うのですが、母父に入るとなぜか活躍距離が長いところになるんですよね。不思議。

馬名一言
カクシアジの2023アジアエクスプレス好配合
コマチチャンキズナ好配合
ヤマニンパピオネの2023サトノダイヤモンドヤマニンウルス弟。芝なのかダートなのか、短距離なのか中距離以上なのか

ハーツクライ系との産駒はこの世代にはいないようですね。ディープ系も対象数が少なかったなあ。

ちとこの世代の母父スウェプトオーヴァーボードは勢力としては弱めかもしれませんね。なんて言ってたら大物が出たりして。

フランケル

母父フランケルの2歳馬は30頭。

まだ5世代くらいしかいないのに早くもトップ50入り。少数精鋭で頑張っています。

父のガリレオよりも勢いを感じますね。

エピファネイアやリアルスティールあたりと相性が良さそうなのですが、2023年産に該当馬はなし。無難にコントレイルやスワーヴリチャード、後はジャスタウェイ産駒なんかを挙げておくのがいいかもしれませんが、ここではあえて影が薄いが妙味を感じるところを。

馬名一言
サトノソレイユの2023サトノジェネシスグロリアスソングとデヴィルズバッグの全姉弟クロスが眩しい1頭
ウィッシングタイムの2023ヴァンキッシュランガリレオ3×3、リファールもかかってます

全体的に母父フランケルの2歳は良血馬が多く、活躍が非常に楽しみですね。この世代だけでどれだけの勝ち上がりを見せるか。注目だと思いますよ。

ディストーテッドヒューマー

母父ディストーテッドヒューマーの2歳馬は13頭。減少傾向にはあるようですね。

割と最近まで種付けしてたからまだ20代かと思いきや…もう32歳なんですと。

この年齢でありながらまだまだ母父ランキングで50位内に入りしかも高いEIを誇るのは、本馬のポテンシャルの高さを感じますね。1頭ずば抜けた馬がいるわけでなく、何頭かにわたって活躍馬が出ている点も魅力に映ります。

ゴールドアリュールとの相性が抜群なのですが2歳世代に該当馬はなし。とにかくダートで活躍馬が多数輩出されているので、期待のダート系種牡馬との配合馬から主にピックアップしていきましょう。キズナとも相性いいはず。

馬名一言
ステージトリックの2023エスポワールシチー地方25勝エンパイアペガサスの弟ですか。これは超注目!
シュネルアンジュキズナ好配合
ラコンチャビエンキズナ好配合、親戚にコントレイル
グロリアスブレイクの2023ゴールドドリームバラードの牝系
サトノシュテルンの2023サトノジェネシスサトノ配合。サトノジェネシスいいかもですね!
ローゾフィアシニスターミニスター祖母にヘヴンリーロマンス
コワンニシタガウスワーヴリチャードセレクトセールで2860万円。只者ではない気配。名前からしても
レディマドンナの2023ヘニーヒューズ北海道サマーセールで最高額5280万円。左前脚がちょっと気になるが…
アメリの2023リアルスティール好配合
フラーティングアウェイの2023ロードカナロアロードフロンティア全弟

13頭中10頭も挙げちゃった!

それほど気になる母父なのね!

この世代の勝ち上がり率は見ものですよ。

挙げなかった残りの3頭から活躍馬が出たりして。

…残りの3頭も書いておこうかな…。

いいですねディストーテッドヒューマー。馬名の長さからこれまで敬遠していた向きがありましたが、俄然気になって参りました。

少数ながら強力な布陣だと思うので、必ずこの中から大物が出ることでしょう!

出資馬の母父について

それでは今回の考察を踏まえまして、2歳出資馬の母父を見て参ります。

まず母父キングヘイロー、父コントレイルのヘイローフジの2023

母父キングヘイローのところでもピックアップしている通りで、期待は増していく一方です。気掛かりだった遅生まれを一蹴するように育成は順調の様子。2歳の秋頃までのデビューもあるかもしれませんね。

同配合のカットソロは注目のライバル、重要な指標となりそうです。

続いては母父ハーツクライ、父ベンバトルのオースミハナチャンの2023

ハーツクライは2024年の勝馬率とEIがともに中央値を突破。といってもEIはやや物足りない印象なんですよね。ダートだとマンハッタンカフェより1枚も2枚も落ちる感じで、活躍の場が狭い点が理由として挙げられるのでしょう。

父ベンバトルとの相性が肝となるわけですが、ドバウィ系種牡馬と母父ハーツクライは相性良しと睨んでおります。後は芝かダートかなんですが、芝の可能性が6〜7割といったところか。母自体はダートで勝ち上がっているんですけどね。距離は中距離以上でしょう。

なんて予想が全部外れたりして。

まとめ

この集計も4回か5回目くらいですが、ランキングにだいぶ変化が出てきたように感じます。サンデーサイレンスが50位の圏外へと外れてしまう日がやってくるのも間近か…。

しばらくは海外種牡馬が母父ランキングの上位に多数食い込む集計が続くことでしょう。

サンデーサイレンスがBMSランキングを独走していた2010年代も同じような傾向が見られました。当時はサンデーサイレンス一強でしたが、現代はディープインパクトとキングカメハメハの2強、これにマンハッタンカフェやハーツクライなどが追従する形。

ディープやキンカメが減っていった先、次に母父ランキングの上位に来るのは誰なのだろう…?

日本国内の種牡馬争いも熾烈になる上に、海外勢力も増していく一方。傾向として「国内種牡馬×輸入牝馬」の配合で大物が続出するはずなので、母父ランキングもよく知らない海外種牡馬の名前がたくさん出てくるようになっていくのではなかろうか。

5年後くらいかな。BMSランキングは大きな節目を迎えることになりそう。そこまでの流れを引き続き追いつつ、次代の母父種牡馬を先物買いしていけたらいいなと思います。