8月に引退した3歳馬パッションクインの維持費等の精算が終わり、最終的な収支が判明したので、ここで共有したいと思います。
パッションクインの成績や彼女から得た教訓に関しての記事はこちらです。
「一口馬主って実際どれくらい儲けがあるの?」「未勝利で引退したらどれくらい損なの?」っていう疑問に対する、ひとつのアンサーになっている内容にします。わりかし詳しめに書きますよ。
こういうお金の部分をきちんと書くの大事だと思うんですよね。なんか一口馬主ってそういう部分伏せがちですけど。
夢でもあり、投資でもあるのが一口馬主の魅力。投資面での観点をきちんと記しておきます。
なお、一部の金額の数字に関しては都合上、少し丸め込んでいます。たとえば「427円→400円」に変えている的な。分かりやすさ重視で、でも大きく数字がずれない程度に。
ちなみにパッションクインちゃんは5戦して未勝利で引退(正確にはファンド解散)したのよね。
です。今は元の持ち主さんへ返され、名古屋で走っています。
ユニオンオーナーズクラブのお馬で、200口×4万円、800万円で募集されていたのね!
そう、ここが大事。一口4万円で募集されました。よって、以下も一口分の収支を報告しています。
なお、収支の項目とか額面は、クラブによって多少誤差があると思います。あくまでも一例として、なんとなく一口馬主の収支内訳が把握できることが、本記事の目的です。
何かおかしな点などありましたら、お問い合わせまでお願いします。
まずは結論から
それではいきなり、パッションクインでいくら損したのか。書きましょう。
損は確定なのね!
そりゃあ、未勝利で引退ですからねえ…。
まず、収入から。馬主の収入源といえばレース出走に伴う手当てです。その合計額がこちら!
1万円いかなかったのね!
5戦して一度も掲示板内は無し。1レースごとの出走手当てが1,900円(税徴収後)で、かける5戦分で9,500円です。
200口全体で言えば190万円程度となりますね。
細かいことは後ほどとして、続いて支出です。こちら!
200口全体だと1,300万円超え!
初期投資の4万円と、毎月積み立てていった維持費(お馬の委託料とかエサ代や保険料など)、合わせて6万6,150円也〜。
というわけで、差し引いた損失額はこちら!
200口全体だと1,100万円ちょっと!
未勝利で、この損失ですからね。全くもって悔いはないです。
それでは以下、詳し〜くパッションクインに関するお金のことを書いていきます。
毎月積み立てた維持費は一部戻ってくる(はず)
やっぱりこれが大事ですよね。
お馬ごと、毎月維持費を払うのね。
金額とか払い方はクラブによって違ったりしますが、基本はそうです。
パッションクインの場合、毎月維持費として支払っていた額は3,000円でした。
この3,000円を、2018年の3月から2019年の10月まで、計20ヶ月払っていました。よって維持費として支払った総額は60,000円。
でもこの60,000円全てが使われるわけではないんだ?
そう。いわば事前の積立金みたいなもので、引退後に精算されいくらか戻ってきます。
入厩した厩舎とか、入厩期間や怪我の治療歴など、いろいろな要素によって最終的な馬にかかった費用が算出されます。それらと積立金の総額を差し引きして、最終的に馬主へお金がいくらか返金されるのです。
1円も戻ってこないとか、もしくは逆に出費の方がかかって追加費用を取られるとか、そういうケースはまずはいなず…。
さて、それでは最終的なこの精算によっていくら戻ってきたのか、内訳書いたものがこちら。
維持費出資金相当額 | 60,000 |
買戻金 | 3,700 |
解約保険金 | 400 |
見舞金 | 8,250 |
合計 | 72,350 |
委託料 | -36,000 |
返戻金 | 36,350 |
精算によって36,350円戻ってきたことになります。ちょっとうれしかったですね。自分が払ってきたお金が戻ってきただけなんだけど。
委託料の36,000円が、お馬ちゃんにかかったいろいろな経費の合計か。
ですね。思ったよりもかからなかった印象。200口全体だと720万円だったことになりますね。
買戻金、見舞金について
他の項目についても補足しておきましょう。
まず「買戻金」ですが、お馬はファンド解散とともに売主(パッションクインの場合は提供者と呼ばれています確か)の方へ返却となりました。このときに売主からクラブへ買戻金を払った、ということだと思います。違ったらごめんなさい。
他にも競売にかけて他のオーナーへ売ったりなど、いろいろな形で、ファンドを解散した馬はいずれかへ譲渡されます。そのときにいくらかのお金が動くはずなんですよね。
競売で売った場合は「売却代金」という名目になるはずです。
「解約保険金」ってのは、その名の通り保険を解約してちょっとお金が戻ったのね。
ですな。400円、200口全体だと8万円程度。
「見舞金」は、クラブのパンフレットやサイトを見ると必ず書いてありますが、競走馬は必ず保険に入ります。馬が競走中に死亡ときや怪我で長期休養を余儀なくされたとき、保険対象とされ、この見舞金の名目にて馬主へ保険金が払われます。
ただし!今回の場合はたぶん、見舞金の名目にはなっていますが保険金が下りたわけではないはずです。
パッションクインちゃんは怪我とかじゃなく普通に引退だものね?
そう、保険の対象にならないんです。じゃあ何の対象だったかというと、JRAの「抹消給付金・付加金」が支払われたってことでしょう。
詳しくは、いずれかのクラブもしくはJRAのサイトを見れば丸わかりです。一応、ユニオンの該当ページをリンクしておきます。
8,250円の200口だから、165万円。サイトの給付金の説明に、「3歳の12月末日までに引退した場合は165万円」って書いてあるわね。
うむ。明細上は、この給付金も見舞金の項目に入れているんですな。
返戻金に関するまとめ
維持費として払い続けた総額は60,000円。さらに買戻金や解約保険金や見舞金を加えて、そこから委託料36,000円を引いた残りが、36,350円。これが今月末にでも振り込まれるわけです。
正直こんなに戻ってくるとは思っていませんでした。
収支のさらに細かい内訳
さて次に、さらに細かい支出面について書きます。
ここまでで書いた支出は維持費のみ。でも他にもいろいろ、パッションクインちゃんのために払ったお金はあります。
最初の出資金がそうよね。
そう、一口あたり4万円。さらには保険金も払っています。1歳時から、毎年12月に1,250円払っています。
てことは1歳と2歳のそれぞれ12月、計2,500円ね。
ではここで、私が実際に支払った支出の合計を書いておきましょう。
出資金 | 40,000 |
維持費出資金総額 | 60,000 |
保険金総額 | 2,500 |
合計 | 102,500 |
200口合計だと2,050万円か…。
非常にリアリティがあります。1頭の馬を管理することの、なんと大変なことよ。
さて冒頭に紹介した支出は6万6,150円でしたね。これはなぜかというと、この支出合計10万2,500円から、先ほどの精算によって戻ってきた返戻金3万6,350円を引いたからです。これが最終的な実質の支出なのです!
支出合計 | 102,500 |
返戻金 | 36,350 |
実質支出 | 66,150 |
このような根拠によって、冒頭の支出額としました。
ちなみにもっと細かい支出をいえば、毎月払うクラブの会費なんかもありますが、ここでは支出に含めていません。何頭に出資しているかで、一頭あたりの会費の重みは変わってきますからね。また、会費を取らないクラブもあったりします。
収入はレース収入のみ
収入面は分かりやすくレースの賞金だけ。冒頭の通り、1,900円×5レース分で、合計で9,500円。
1回も掲示板に載らなかったから、レース出走手当しかもらえていません。
5着以内じゃないと賞金が出ないのね?
いや実は中央競馬の場合、8着以内なら出走奨励金が出ます(重賞なら10着以内)。
パッションクインは川崎の交流戦で6着に入りましたが、これの奨励金の類は入っていませんでした。どうやら交流戦は出ないみたいですね奨励金。
まあとにかく、出走すればいくらかの手当は入ります。ありがたいことです。
コンスタントに走ってくれれば、維持費くらいは稼いでくれるかもなのね。
そうやって生計を立てている厩舎もいたりいなかったりで。ただお馬にはけっこうな負担になるし…結果がともなわないのであれば早く引退させてあげるべきと私は感じます。
収支のまとめ
というわけで、私は今回収支をこのように算出しています。
改めて、今回の数字を当てはめるとこうなります。
どうやったら黒字になれた?
未勝利のままだと、黒字になるのは厳しいわね。
3着以内を何度も繰り返すとかであれば別ですが、基本は「未勝利で終了=赤字」と見なすべきでしょう。
先ほどの式の通り、レースでしか収入はないわけですから。とにかくレースに出てもらい、1勝くらいはしてもらわないと、トントンに持って行くのも困難ですな。
これが募集額5,000万円とか1億円以上の馬だと、さらに黒字に届けるのは至難。オープン級になってもらわないといけません。
ただ、ひとつ確実に言えることがあります。
楽しませてもらったことも収入とすれば、トータルでプラスな気分になれます。
パッションクインに関しては、大井で一度だけ出走を見ることができました。しかも騎乗したのは藤田菜七子ジョッキー。いつか愛馬に女性騎手乗って欲しいなと思っていましたが、あっさり叶ってしまいました。
このときレースを見守っていたときの気持ち、スタートの瞬間のワクワクなどは、掛け値なしといえるでしょう。
思い出はプライスレス!
それって結局0円じゃん。やっぱ損じゃん。
…。
(泣)
同世代はまだ4頭います!
さてパッションクインと同じ2016年生まれの現在3歳馬で私の出資馬は、あと4頭います(2019年11月時点)。
クラブの利点は少額ずつ多頭数に出資して、リスクヘッジをできるところ。残りの4頭に、夢を馳せることにしましょう。
この時点でまだ5頭中4頭も現役でいてくれることは、ほんとにほんとに嬉しい話です。すでにユニオンの3歳馬は半数以上が引退していますから。
そのうちの何頭かが、パッションクインの損失分を補って余りあるくらいの活躍を成し遂げてくれることに期待します!