この一口募集馬に関しては書こう書こうと思いつつ、ちょうど3歳未勝利戦の終わりのタイミングだったりで逸していました。ここで今後の勉強のためにも書いておこうと思います。
ユニオンオーナーズクラブの2016年募集馬(2015年産)馬、フェールデュビアンについてです。
ディープブリランテ産駒の牝馬ね。
先日引退が決まり種牡馬入りしたオルフェーヴルと同世代になります。
ラプタスなど活躍馬が多いユニオンのディープブリランテ産駒。フェールデュビアンは2戦目で未勝利を脱し、1勝クラスでも1番人気に支持されるほどの実力馬でした。
そんな彼女なんですが、2018年夏のレースを最後に長期戦線離脱、結局出走体勢の整わないまま、2020年9月に引退となってしまいました。
この件について、いろいろ思うところを書きます。
ちなみに私はこの次の世代からユニオンに仲間入りしたので、この子に出資してはいません。
歯車の狂った2018年夏の1戦
長期離脱の要因となったのは2018年7月29日のレース。ゲート内で突進し鼻出血、除外となってしまいました。
この経験がどうやらトラウマとなってしまったようで、ゲート内に入ると暴れるようになってしまったのです。
ここから陣営の試行錯誤、長いトンネルに入ります。なんと丸2年もレースどころか入厩することもできない中、調整を進めてきました。
他の調教は問題ないのに、ゲートだけはどうしても暴れてしまう。何度も育成場を変え環境を一新するも、トラウマ克服には至らず。
2020年9月、引退が決まりました。
嫌なゲート練習を何度もやらされて、しかも結局レースに出られないなんて…。
非常に気の毒。誰も幸せになれない結果となってしまいました。
この件で「まずいな」と思ったこと
基本私はユニオンOCのファンであり、会員ですから当然応援する立場ではありますが。
出資者として当然、厳しい目でさまざまな事実を受け止めて評価していくべきであると思います。小口の出資者のくせして生意気かもですが。
この空白の2年間も、フェールデュビアンの維持費はもちろん出資者が負担をしています。
2年間で合計いくらなんだろう。ゲート克服費用。入厩時ほどはかからないにしろ、けっこうな額がかかっています。
それでいて、結局克服が叶わず引退ですから、出資者は結果だけ見れば「お金をドブに捨て続けていた」ともいえるわけです。投資的にいえば大損ですよ。
自分が惚れ込んで出資した馬だから、そのくらいの覚悟は必要ともいえるかもだけど…。
でもさすがに2年間もモヤモヤさせられるのは…長い。
私の出資馬エフォールシチーも1年ほど怪我で戦線離脱、その間の維持費に頭を痛めたものです。ただ彼の場合はきちんと復帰し何戦か使った後に引退したので、多少の諦めというか気持ちの整理はできましたが。
今回の場合、さすがに気まずいですよね。
陣営も出資者に対して申し訳ない気持ちでいっぱいでしょうが。出資者は納得しきれないところ、やりきれない思いがあると想像します。
もっと早くに決断できなかったのか
焦点となるのはここでしょう。
ゲート克服が課題ということで、一丸となって対策を始めたのが、2年ほど前になるのでしょうか。そのときに、「いつまでに克服できなければ引退」のような期限をつけるべきだったというのは、非出資者の勝手な言い分になっちゃうんでしょうか。
もし自分が出資者だったら…「半年以内にゲートが改善できなければ引退にします」など言ってくれた方が、気持ち的にも経済的にも整理がつきます。
競走馬に限った話じゃなく、こういったトラウマ(苦手意識とかイップスとか)克服絡みの課題というのは、どこかに線引きをしないと、「せっかくここまで来たし」でずるずる前進のないまま引きずり続けることも少なくありません。フェールデュビアンはまさにそのケースになってしまったわけで。
お馬ちゃんにとってもストレスでしかないし、やっぱりもう少し早い決断がほしかったかもね。
自分はそう思いますね。2年は長いよな〜。
起きること事態が問題ではなく、事後のケアが肝心
さて、ここからは私が個人的に思うこと。
こういった特異な事態があった場合は、その馬の出資者だけでなく、全会員に、何かしらのケアをするべきだと思っています。
こういうケースを目の当たりにすると、出資者じゃなくても不安になりますからね。「もしかしたらうちの出資馬もそうなることが…」って、出資に対して消極的になっちゃいます。
なので、こう言った特異な事態が起きたら、別途書面(もちろんサイトのお知らせとかでもOK)にて「事態の顛末」「反省すべき点」「今後同じようなケースが起こらないよう気をつけるべきこと」を報告してほしいと感じます。まあ一言で始末書です。
確かにこういう報告をしてくれた方が、出資者も納得できるし、運営の意欲も伝わってくるわね。
次につながると思うんです。
リトルキラーで私はちょっと嫌な思いというか、一口クラブの「表に出ない闇の深さ」みたいなのを感じてしまったので。余計にその思いが強いです。
出資者(会員)とクラブ(愛馬会)はあくまでイーブンな関係であるべき。なるべく風通しの良い環境で信頼関係を築いていきたいものです。
ブルースカイハーツ転厩時のコメントは暖かかった
その一方で、対応に「心」を感じたケースもあったり。
ブルースカイハーツが厩舎都合で転厩となったのですが、手塚調教師の言葉には心がこもっていました。
クラブとともに練った、出資者の気持ちを慮った報告でした。私は出資者ではありませんが、もし出資者であったとしても納得できたと思います。
ここにその報告を載せることは問題ありだと思うのでしませんが。やっぱりこういう対応ってのがね、会員を定着させますし、クラブの息を長くさせますよね。
まとめ
というわけでフェールデュビアンの引退に際して思うこといろいろでした。
とにかく私が思うことは、血の通った運営です。インターネットでの利用が主流になった今こそ、暖かさが伝わる対応ってものを感じたいですよね。
フェールデュビアンは本当に本当に残念でした。繁殖に上がるかと思いますので、産駒にも期待であります。
にしても。ゲートでこれほどトラウマになるなんて。フェールデュビアンは非常に賢い子だからこそ、このような悲しい結末に至ってしまったのかもしれませんね。
大井競馬場で怪我をしたローマンレジェンドは、以降大井に参戦すると自分から走るのを止めてしまった、というエピソードがあります。賢くて強い馬ほど、そういうものかもしれません。