先日、私の一口馬主人生で初めて所有馬が引退しました。
ユニオンオーナーズクラブ所属、青木孝文厩舎でデビューした牝馬パッションクイン(父フリオーソ、母サンレイククイン)です。
中央で2戦、地方交流戦で3戦し、レースごとまずまずの良化はあったものの、今後も勝ちきることは難しいという判断になり、引退が決まりました。
なぜ彼女に出資を決めたか。彼女との出会いが私の馬主人生にどんな経験を与えてくれたのか。
パッションクインに教えてもらったことをここでまとめておきます。
私の出資条件
これは今後より深く当サイトで書いていく予定ですが、私は数多の募集馬の中から出資馬を絞る上で、いくつかの出資基準を設けています。
その中で「最低でもこれはクリアしていてほしい」という条件があります。それがこちら。
- 同じ牧場生まれの活躍馬がいる
- 厩舎が信頼できそうなところである
- 兄や姉が活躍している
ここでいう「活躍」というのは、何も重賞に勝ったとかG1に出走したとか、そういった活躍ではありません。
たとえば市場取引で100万円程度の馬が中央で1勝でもしたら、それは大活躍といえるでしょう。未勝利戦勝ったら賞金500万円ですから。
そこまで目立った血統の馬を預かっているわけではないのに、どの馬もなかなかの活躍を見せている、いぶし銀光る牧場や厩舎ってのがあります。こういう牧場や厩舎はなかなか賞金ランキングの上位に来ないので、穴場といえば穴場。そういったところを狙い打てば、馬主としての回収率も上がっていくのではないかと思います。
牧場や厩舎っていうのは、要するに「人」。馬への出資ですが、関わる人を見ることが何より大切だと感じています。
また、兄や姉の活躍は私にとっては絶対です。つまり初仔には基本出資しません。もうちょっと資金に余裕が出てきたからですね、初仔に手を出すのは。
他にも色々条件はあるのですが、最低限のところは以上になります。
血統に妙味アリ、しかも安価!
さて改めてパッションクインですが、兄姉にはサンレイジャスパーやサンレイデュークなどの活躍馬がわんさかいます。
兄姉にたくさん活躍馬がいながら募集価格は800万円。これはお買い得でしょう!
生産牧場にはケイティブレイブなど有名な馬がずらり。文句なしです。
血統自体も、父フリオーソが大好きだったので、惹かれましたね。
厩舎は新規の青木厩舎。出資当時は完全未知数でしたが、氏のインタビュー記事など読んで共感できる部分が多く、投資決定の後押しをしてくれました。
というわけで、最低条件は見事クリアしていたので、迷わず出資となりました。
パッションクインの実績と引退理由
パッションクインの戦歴を簡単に振り返ります。
デビューは遅く、3歳の5月。新潟の芝1000mでした。父フリオーソの明らかなダート血統でしたので、結果は13着と振るいませんでした。続いて大井の交流戦では9着、さらに福島で12着、また川崎の交流戦で6着。ほとんど間隔を空けずの三度目の地方交流戦、大井1200mの8着を最後に引退が決まりました。
正確には完全な現役引退ではなく、ファンドとしての所有が解散となり、以降は名古屋競馬で走ることが決まっています。他の馬主さんへ譲渡というかたちですね。
引退の理由はもちろん成績不振ですが、その原因となったのがトモの甘さでした。
要するに腰回りの筋肉量が足りなかったんですね。
レース前半は流れに乗れても、終いの勝負でどうしても負かされてしまう。筋肉不足をまざまざ感じさせるレースばかりでした。
出資前にトモの甘さに気づけなかったのか?
さて、ここからは反省。
パッションクインは出資金を回収できませんでした。投資としては失敗です。
この失敗を回避することはできなかったのだろうか。
このように考えることは大切だと思います。
パッションクインがレースで結果を出せなかったのはトモの筋肉の弱さにありました。では、出資検討段階で、トモの弱さに気づくことはできなかったのか。
出資検討段階、パッションクインはまだ1歳。骨格はだいたいできあがっているものの、筋肉はこれから付けていくという状態です。
この時点で「この子はトモが付きにくいな」と予測するのはまず無理だったでしょう。
だから、失敗を回避するのは無理だった。とはなりません。
出資するタイミングの大切さよ
失敗を回避するために大事だったのは「様子見」することでした。
パッションクインの募集が開始されたのは1歳時の6月か7月くらいだったと思います。そして募集の締め切りは2歳時の5月です。
パッションクインは、そこまで「売れ行き」のいい子ではなかったと記憶しています。最終的に満口にならないまま締め切りを迎えたはず。
ユニオンオーナーズクラブは、満口にならないままデビューを迎える馬がけっこういます。
私は募集開始の1歳時に迷わず出資しましたが、今思えば、もう少し待つべきだったのです。
実際にこれまでのクラブからの報告を読み返してみると、2歳の4月時点の報告で「トモに緩さが」の表記が見られるようになりました。
このときまで様子見をし、「トモの緩さ」という報告を見るや否や、出資を見直すという選択肢もあったわけです。
まあこの報告を見た後でも、パッションクインちゃんには出資していた可能性は高いですが。
パッションクインから学んだこと
応募がさほど殺到しないような馬についてはしばらく静観し、報告内容に「リスク」と感じられる点がないかをよくチェックする。そしてそのリスクを踏まえた上で、出資するかどうかを決める。
これが一口馬主投資で失敗しないための教訓のひとつですね。パッションクインから学ばせてもらいました。
早く出資したいという気持ちを抑えてじっくり様子見する。これってけっこう難しいんですよね心情的に。でも大事なんだなと感じました。
一口馬主は楽しむこと、夢を見させてもらうことがまず第一ですが、しかし投資のひとつなわけで、少しでも儲かる方法を追究していくべきでしょう。
今後も、出資馬たちから色々なことを学ばさせてもらいたいと思います。
一口馬主人生初の引退馬、パッションクイン。お疲れさまでした、そしてありがとう。新しい環境でも頑張って!