YouTube。ユーチューブ。夢のある世界ですよね。
成功しているYouTuber(ユーチューバー)は、広告収入だけでもかなりの収益を得ているようです。企業タイアップならさらなる収入が見込めます。人気を博せばグッズ展開でも大きな売上を出せるのだとか。
ただ厳しい世界でもあり、成功できるYouTuberはほんの一握り。プロ野球選手になるよりも、4段以上の棋士になるよりも、狭き門ではないでしょうか。世界中が競合なわけですし。
そんなYouTube、私の個人的な感想ですが、すこ〜しずつ速度を失いつつあるような気がしなくもないのです。
その根拠みたいなものは後ほど詳しく。
もしYouTubeが大きな経営変革を余儀なくされたら。しかもそれが非常にネガティブなもので、ユーザーにとってもYouTuberにとっても悪いものであったら。YouTubeが構築してきたビジネスモデルは一気に瓦解してもおかしくないことでしょう。
「YouTubeショック」がいずれ起こるのでは?と危機感めいたものを抱いております。
その辺のところを、以下詳しく書き留めておきます。
「YouTubeショック」とは
まず「YouTubeショック」って言葉なんですが、勝手に私が名付けたもので一般的な意味はありません。
ただ「YouTubeショック」で検索したところ、ITmediaの記事がヒットしました。
とはいえこちらは14年近く前の記事。SNSやポータル事業の大躍進を記述したものであり、決してネガティブな意味で「YouTubeショック」を使っているわけではありません。
ほんの14年前までは、TwitterやYouTubeってほとんど浸透していなかったのね。
私の場合、完全にネガティブな意味です。パリバショックとかリーマンショックとかチャイナショックとか、経済的な危機が起こることを危惧しています。
たかがいち動画サイトでなぜそんな大ごとに?と思うかもしれませんが、そのくらいYouTubeが築き上げている市場規模ってでかいんですよね。
危機になりうる根拠を述べる前に、まず簡単にYouTubeのビジネスモデルについて書いておきましょう。
広告&課金
YouTubeも今流行の「サブスク(サブスクリプション)」のひとつなんでしょうね。
まず、YouTubeは動画配信サイトであり、その動画を見るのは基本無料です。
これだとYouTube側には何の利益もありません。
そこで動画の冒頭や中頃、もしくは画面の下部などに広告を流しています。この広告掲載費で売上を出しているわけです。
まあここまでは、よくあるありふれたメディアのマネタイズ方法であります。
で、いつからだったでしょうか。YouTubeのプレミアムプランってのが登場しましたね。
このプランに入ると、動画視聴中に一切広告が表示されなくなるんだとか。
実際に入ったことはないので、具体的な内容はよく知りません。月額は2020年1月現在たぶん月1,180円。
見たくない広告が表示されなくなるのはいいわね。でも月1,180円は悩んじゃうわ。
私は基本YouTubeを見ないんですが、妻や息子はよく見ています。頻繁に視聴する人にとって、広告非表示は魅力的でしょう。
ビデオ録画のCMスキップ機能みたいなもんですよね(例えが古い)。
企業が広告出す気を逸するのでは?
しかしですよ。みんながこぞってこのプレミアムプランに入ってしまったら。
誰も広告を見なくなっちゃうわね。
そうなったら、企業はYouTubeに広告費を払うことを遠慮しそうです。
実際プレミアム会員がどのくらいいるのかはわかりません。まあまだまだほんの一部ではなかろうか。YouTubeの中心ユーザーである若い人にとっては、月1,180円はなかなか勇気のいる出費だと思います。
というわけでまだまだ普通にみなさん広告を見ているのですが、一方でプレミアム会員は確実にじわじわ増えているでしょうし、企業にとっての旨味は少しずつ減っていることも考えられるわけです。
広告を出したがる企業が減ると、必然広告収入も落ちていくので、このビジネスモデルそのものに陰りが見えてもおかしくないように思います。
YouTube広告に関する「そもそも論」
そもそも、ですよ。
YouTube見ている人に聞きたいのですが、YouTubeで流れる広告見て、その商品やサービスを購入したいって思うのでしょうか。
YouTubeって、無料だから視聴しているんですよねきっと。非プレミアム会員はそうのはず。
財布の紐堅めな層が多そうですし、そう易々と購買意欲を高めることってできない気がするんですよね。
ゲーム系動画でゲームの広告を流す、美容系の動画で化粧品の広告を流す、というのはある程度効果期待できるかもしれませんが…どんだけ威力あるんでしょうね。
具体的な例を書いておきましょう。
我が家では、息子がおもちゃ関連の動画をよく見ています。子供や大人がおもちゃをひたすらいじり通す動画で、親から見ると何が楽しいのかいまいち伝わらないものも多いのですが、息子は夢中です。
親御さんにとっての救世主ですよねおもちゃ系動画は。泣く子も黙ります。
このおもちゃ系動画にも広告がつくのですが、見ているのは未就学児とかですからね。広告流したところで訴求力ほとんどないと思います。たとえ親御さんが見ていても、無料だから見せているのであって、紹介されているおもちゃを買うまでに至れるかどうかは未知数です。まだまだこれから検討統計の必要な項目でしょう。
実際、一時期おもちゃ系動画ではタカラトミーなどの広告がガンガン入っていたように思うのですが、最近はあまり見なくなった気がします(この辺はとくに個人の感想強めですので、参考程度としてください)。
各企業がYouTubeへ広告を提供することに完全消極的になったら、YouTubeショックは現実味を帯びてくると思います。
広告がやたら増えた気がするのは気のせい?
もうひとつ気になっていることとして、YouTubeの広告の表示回数が年々増えている気がすること。
配信者ごとで広告の調整設定ができるのかどうかは知りませんが、冒頭に流れる広告が1回のみに止まらず、2回3回連チャンで流れることも多くなった気がしています。気のせいかな?
これは広告を出したがる企業が増えたことを示唆するのではなく、ひとつの動画にたくさん広告を入れないと運営が回らなくってきたことを意味しているのではないかなと。需給のバランス調整的なものですね。
こうなってきちゃうと、いよいよYouTube離れを起こしそう。広告が多いからといって、月1,000円以上払ってプレミアム会員になろうと発想する人は少数派だと思いますし。
私自身があまりYouTubeを利用しないので、悪いところだけやけに目についてしまうだけかもしれませんが。こういったちょっとした気がかりが、後々の大異変の兆候だったりするものです。
YouTube関連企業の業績もネック
さらに気になっているのがこれ。というか一番の懸念材料。投資家目線な話なんですけども。
はじめしゃちょーやHIKAKINなど、YouTuberを多数抱えているUUUMの業績が不振だというのが、最大の気がかりなんです。
1月14日の決算発表後、株価は下がり続け、一時は5,000円以上を安定してキープしていたUUUMが、ついに17日に4,000円を割りました。
YouTubeと一蓮托生ともいえる企業ですから、UUUMの値動きがYouTubeの将来を占っているともいえます。指標ですね。
ただ個人的な意見を申し上げると、UUUMはこれまでが良すぎたともいえるので、むしろこのくらいの決算で済んでいるのがすごいと思っています。
他にもYouTube関連の会社をいろいろ見ているのですが、売り上げは横ばいか上向いているのに、広告費が重すぎて利益が減っている、という決算報告書をチラチラ目撃しているような。
私にバイアスがかかってしまっていて、そういう悪材料ばかり目に入ってしまっているだけもわかりませんが。
広告と売り上げのバランスを保つために、YouTubeへの広告を控えるところも増えるかもしれませんよね。これは考えうることです。
YouTubeはここ最近いろいろ規制をかけてきているようで、配信側にとってはよりデリケートな運営が必要となっています。今後もさらにいろいろな制限がかけられていくことなのでしょう。
そうなっていったとき、ユーザー・配信側問わずYouTube離れを加速させ、必然と広告を出す企業も減って…となると負のスパイラル、いよいよYouTubeショックは現実味を帯びてきます。
では起きたらどうなる?
いや、実際、YouTubeショックが起きても、世間にはほぼノーダメでしょうね。
これまでのいつの時代もそうでしたが、ひとつの大きなメディアが崩壊したとして、世間に何か重大なインパクトがあったかといえば、全然そんなことはないです。あくまでメディアに過ぎませんから。リーマンショックほどの騒ぎにはならないでしょう。金融とかインフラの崩壊とは訳が違います。
むしろいいことの方が多いかもしれませんね。より使いやすいサービスが出てくるかもしれませんし。
でも企業や企業を支える投資家にとっては、大問題になることでしょう。このままUUUMの株価が落ちてしまったら、さらにそのほかのYouTube関連会社も沈み始めたら、関係者にとっては痛恨です。
とにかく言いたいことは、YouTubeもピークは過ぎたのではないか、という個人的な観測でございます。
株価が下がっているからといって、UUUMの株を買うかといえば、それはちょっと怖いっすよね。
おわりに
長々書きましたが、まだ書き足りていない気がします。今後さらに何か追記するかもしれません。
ただ確かなこととして、今はアメリカ経済もそして日本経済も大躍進しているのですが、実体性に薄いというか、どうもフワッとした抽象的な上昇曲線を描いているような気がするのです。
土地が値上がりすぎて一気に弾けたバブルのような、はたまた最近なら仮想通貨のような、評判だけがひとり歩きしていて実質的なものが伴わない段階にまで、YouTubeという動画配信メディアも来ちゃっているような気配を感じています。
終始「気がする」「感じる」ばかりで恐縮ですが、経済の素人で、ただの貧乏フリーランスの戯言なので、どうかご容赦を。
これが単なる杞憂となるか、大なり小なり実体化するか。それは私にも分かりませんが。今後もYouTube関連のニュースには敏感になっていたいと思います。
この実体と仮想(幻想や期待ともいえる)の乖離している状況が、いずれバランス調整される段階はきっと訪れるはず。この予想はたぶん的中するでしょう。規模の大小はわからんですが。