突然ですが。
アメリカから輸入されたダート系種牡馬って、キャラかぶっている気がしませんかー!?
アメリカ生まれの種牡馬って、どれもこれも馬体が似通っている気がするんですよね〜。アメリカの競馬場はどこもコースが似ているせいでしょうか。
必然、産駒も見た目が似たより寄ったりで、甲乙つけがたい印象です。
そこで。キャラを把握するために、今回の記事を書いてみた次第です。
ヘニーヒューズ、パイロ、マジェスティックウォリアーなど…ここではアメリカから輸入され日本で供用されている種牡馬について比較していきます。
日本へ輸入された「産駒」ではないので、アメリカンファラオなどは含まれません。また、ダート系なので、ヨハネスブルグなど芝で活躍したアメリカ産種牡馬も含みません。あしからず
2017年産の成績を比較
それではさっそく、代表的なアメリカ輸入ダート系種牡馬を比較してみましょう。
ここではまず2017年産、2020年現在3歳馬たちの成績を比べます。2016年当時の種付料と種付数、そして勝ち上がり率を見てみましょう。
種牡馬名 | 2016年種付料(万円) | 2016年種付数(頭) | 2017年産中央勝上率(%) | 2017年産ノーザンファーム率(%) |
---|---|---|---|---|
ヘニーヒューズ | 300 | 182 | 30 | 8 |
パイロ | 200 | 184 | 35 | 2 |
シニスターミニスター | 80 | 118 | 28 | 0 |
ダンカーク | 150 | 119 | 22 | 2 |
マジェスティックウォリアー | 200 | 127 | 31 | 10 |
エスケンデレヤ | 180 | 115 | 30 | 0 |
トビーズコーナー | 120 | 44 | 22 | 0 |
バトルプラン | 70 | 42 | 25 | 0 |
一番右のノーザンファーム率ってのは?
産駒全体の中でノーザンファーム産馬がどれだけいるかの割合です。意外とこの数字が重要だったりします。
それでは上記データをくわしく見ていきます。
ノーザンファーム生まれが多いほど優秀な傾向
これ当たり前な話なんですけど。育成環境や繁殖牝馬に恵まれているノーザンファーム産が多い方が、当然産駒も活躍する傾向にあります。
逆にいえば、ノーザンファーム産が少ないのに健闘している種牡馬ってのは、本質的なポテンシャルを秘めているともいえます。最近でいうとサウスヴィグラスは、ノーザンファーム産が少ないにもかかわらずトンデモナイ成績を残しています。
また、これはやや批判的な話になりますが「ノーザンファーム産が多い=商業的なゴリ押しが強い」という気配も感じられます。最近だとドレフォンがそんな気がしますね。それで結果が出ればいいのですが、いまいちだった場合はけっこう悲惨だったりします。
以上は余談です。まあとにかくノーザンファーム産率も参考にしつつ、彼らアメリカ輸入ダート系種牡馬の成績を見比べます。
やっぱり総合的にパイロが優秀?
これは以前ダート短距離系の種牡馬を比較したときにも書いたことですが、やっぱりパイロいいですよね。
表の種牡馬の中では勝ち上がり率ナンバーワン。ノーザンファーム産もこの世代では1頭しかいません。それでいてこれだけの成績は優秀でしょう。
2016年当時は200万円の種付料でしたが、2020年は250万円。ちょっと値上がりしています。まあこれは仕方がない話でしょう。優秀ですからね。
ノーザンファーム多めの2頭について
ノーザンファーム産率が高めなのがヘニーヒューズとマジェスティックウォリアー。
ヘニーヒューズはアメリカ輸入種牡馬の中では安定した成績を誇っています。もはやここで言及することはありません。
マジェスティックウォリアーは現在絶賛売り出し中という感じ。現3歳は日本で供用を開始した最初の世代になります。
どちらも今後も活躍馬が多数出てくることでしょう。
ダンカークは若干期待外れ?エスケンデレヤが面白い
ダンカークの勝ち上がり率は22%。これで種付料150万円ですから、これは少々期待外れといえそうです。
ちなみに2020年の種付料は120万円。まだちょっと高い気がします…。
一方、影に隠れがちなエスケンデレヤ。種付料180万円はやや高いものの、勝ち上がり率は30%とまずまず。ノーザンファーム産がいない中でのこの成績は上々ではないでしょうか。
2020年は100万円に下げられているので、ダンカーク付けるならエスケンデレヤの一発に期待…という手も。
後述しますが、血統的に見てもエスケンデレヤって面白いんですよね。日本血統との何かしらのニックスが見つかれば、一気に爆発という可能性も捨て切れないと思っています。
やっぱり推しはシニミニ&トビーズコーナー
この2頭はすでに記事にしました。
ノーザンファーム産がいない中、よく頑張っていると思います。
繁殖牝馬にもそこまで恵まれていないですから正直。それでいて結果を出していることはいいことです。ただシニスターミニスターは種付料が爆上がりしているんで、馬産地的にはつけづらくなった種牡馬かもしれませんが。
同様に、バトルプランも頑張っていると思います。
ここまで書いて思ったこと
データから見ても、アメリカ輸入ダート系種牡馬って甲乙つけがたいな…。
まじで各馬にそれなりの良さがあるというか…悪くいえば尖ったところがないっていう感じ。
さらに違った視点で、各種牡馬を見ておきましょう。
系統と活躍距離を見てみる
それでは続いて、上記種牡馬たちの血統の系統、さらに中央ダート勝利平均距離をまとめてみました。
こちらは2017年産限定ではなく、トータルでの成績です。世代を限ってしまうとかなりサンプル数が狭まってしまいますからね…。
こちらです。
種牡馬名 | 系統 | EI | 中央ダート勝利平均距離(m) |
---|---|---|---|
ヘニーヒューズ | ストームキャット | 0.87 | 1438 |
パイロ | エーピーインディ | 0.74 | 1458 |
シニスターミニスター | エーピーインディ | 0.94 | 1495 |
ダンカーク | ミスタープロスペクター | 0.44 | 1562 |
マジェスティックウォリアー | エーピーインディ | 0.63 | 1604 |
エスケンデレヤ | ストームキャット | 0.27 | 1760 |
トビーズコーナー | ダンチヒ | 0.45 | 1425 |
バトルプラン | ミスタープロスペクター | 0.66 | 1537 |
EIは高いほど優秀ですが、ここではあまり気にしなくていいです。まああくまでもの参考値で。
いや〜活躍距離も見事に似通っていますね。
エスケンデレヤが1760とダントツに長いですが、これはたぶんサンプル数の少なさのせいで偏っているんでしょう。もう数年経つと、1500に近づいていくはず…。
特筆したいのがマジェスティックウォリアー。他の勢力に比べ、やや長めのところで勝つ傾向にあります。これは尖った才能といえそうですね!
マジェスティックウォリアーもまだまだサンプル自体は少ないですが、この種牡馬たちの中では中距離以上をこなせる可能性の高い種牡馬といえそうです。
血統的に注目はストームキャット系とダンチヒ系か
ここ数年アメリカから輸入された種牡馬に多かったのがエーピーインディ系。日本との相性もまずまずといったところ。
ただ日本に最も合うなと感じるのは、言わずもがなかもしれませんが、ストームキャット系なんですよね。ヘニーヒューズは日本との相性抜群。芝もまあまあいけますしね。
で、同じストームキャット系がエスケンデレヤ。ちなみに母の父シアトルスルーはエーピーインディのお父さんなので、全体的に日本との親和性が高そうに感じます。
今後お嫁さんに恵まれるようなことがあれば、爆発するかもしれませんねエスケンデレヤ。
さらに血統面で面白味があるのはやっぱりトビーズコーナー。非常にマイナーな配合を築きあげている異端さが魅力。期待を寄せてそこそこの種牡馬をつけたのに活躍馬を出せなかった繁殖牝馬には、ぜひこの仔を付けてみて欲しいですわ。まじで。
一口的にはマジェ・エスケン・トビーズか
やっぱりアメリカ輸入ダート系種牡馬って似通っている部分が多い気がしますね。産駒の傾向にしろ、血統にしろ。
その中で、いろいろ見てきた中でいいなと感じたのは、マジェスティックウォリアーでしょうか。
産駒がやや長めのところもこなせるのは大きな強みに思います。現状、ダート界は短距離寄りですからね。日本産の種牡馬も、中距離以上級のダート種牡馬が極端に減っている印象ですし、競合相手の少なさを加味すると、マジェスティックウォリアーには追い風かなと。
ただ、今後もアメリカンファラオ産駒などがガンガン輸入されるでしょうし、日本で供用されたマインドユアビスケッツももちろん脅威であります。
一方の短距離界ではゴリ押し気味のドレフォンもいる、と。
彼ら新勢力が好成績を出すようだと、今回紹介した種牡馬たちはさらに活躍の機会を減らすことになるかもしれません。
今回はキャラ被り気味なアメリカ輸入種牡馬を識別するために書いた記事でしたが、結局整理つかなかったなあ。
期待度としては、まずマジェスティックウォリアー。重賞級がこれからゴロゴロ出てもおかしくありません。芝での活躍もあるのではないか。いずれ本馬だけにクロースアップした記事を書きたいです。
血統的な注目度としてはエスケンデレヤとトビーズコーナーでしょう。この2頭の産駒で穴馬券を取りたいものです。一口馬主でも募集されていたら、検討したいなあ。募集されること自体が少なそうですが。
安定感なら、ヘニーヒューズ、パイロ、シニスターミニスターでしょう。ただ種付料は高い傾向なので、一口馬主で募集していたら募集価格との兼ね合いを見ないといけませんね。産駒の馬体はいずれも似ているため、選別しにくいという難点もあったりなかったり。
ダンカークとバトルプランのミスプロ系2頭は、ダートよりも芝で楽しめる馬が多いかもしれませんね。個人的にはもうちょっと研究が必要です。
以上、アメリカから輸入されたダート系種牡馬の気になるデータ比較でした。
結局あまり結論のない、曖昧な内容になっちゃったな…。マジェスティックウォリアーについては、いずれ必ず産駒の傾向を探る記事をまとめます!